中小企業庁はこのほど「令和9年度中小企業・小規模事業者関係概算要求等ポイント」を公表した(関連記事3面に)。基本的な課題認識と対応の方向性として、「事業者の経営管理能力の高度化と経営改革を後押しし、『稼ぐ力』の強化と賃上げの好循環を実現していくとともに、地方発AXも推進する」と強調。その上で、変化に挑む中堅・中小企業の17の戦略分野への投資やサプライチェーンへの参入を実現し、挑戦する経営者に予見可能性を与えるため従来よりも力強い支援を安定的かつ切れ目なく行う用意がある姿勢を示していく方針を打ち出した。
同ポイントは、概算要求などのテーマとして①賃上げの後押し②官公需も含めた価格転嫁・取引適正化のさらなる徹底③成長支援・成長投資・生産性向上④M&A・事業承継などの事業再編、早期の経営改善・事業再生⑤経営改革のための伴走支援体制の強化など⑥小規模事業者の活性化、社会課題解決に向けた地域における取り組み支援など――の6項目を掲げている。
①では、中小企業向け賃上げ促進税制の拡充などとして、今後5年間を重点期間と位置付け、積極的に賃上げを行う中小企業・小規模事業者を後押しするため、1人当たりの賃金の増加につながるよう「全雇用者の給与総額」や賃上げ水準の要件などについて抜本的に見直し、強化を行うことを明記した。予算としては、中小企業・小規模事業者の持続的構造的な賃上げの実現に向け、賃金影響の調査・分析や賃上げ促進税制などの政策の効果検証を行うとして22億円(26年度当初予算20億円)を計上した。
②では、「中小企業取引対策事業」に40億円(26年度当初予算30億円、25年度補正予算7.6億円)を計上。適切な価格転嫁をはじめ、取引環境の改善のため、中小受託取引適正化法(取適法)の厳正な執行や相談窓口の運営、取引Gメンによるヒアリングを通じた取引実態の把握などを進めることで、官公需を含めた取引適正化に取り組む。
③では、96億円(同33億円、同49億円)を計上した「中小企業・小規模事業者ワンストップ総合支援事業」において、生産性の不連続な革新に向け、中小企業とAIサービス提供者、支援者が出会う場を地域ごとに「地域AXネットワーク」として構築し、AI導入などを支援していく。
④では、「中小企業活性化・事業承継総合支援事業」として280億円(同139億円、同74億円)を計上。中小企業などに対して収益力改善・事業再生や事業承継・事業引き継ぎを支援する。
⑤では、175億円(同62億円、同97億円)を計上した「小規模事業対策推進等事業」により、商工会議所などを通じて行われる小規模事業者への巡回指導・窓口相談などを支援する。
⑥では、「中小企業実態調査委託費」に22億円(26年度当初予算20億円)を計上した。人材活用ガイドラインなどの普及を通じ、多様な人材の戦略的な活用などを促す。