日本商工会議所は9月17日、第143回通常会員総会をハイブリッド形式で開催し、全国各地商工会議所から会頭・副会頭ら約1050人(オンライン含む)が出席した。総会の冒頭にあいさつした日商の小林健会頭は、「わが国経済は今、長らく続いたデフレの時代からようやく脱却し、成長型経済の実現に向けた正念場を迎えている」と指摘。コスト削減に頼る縮小均衡から抜け出し、未来への投資と持続的な賃上げを生み出す力強い経済への移行を確かなものとするためには、政府・中小企業・地域が一丸となって成長戦略の着実な実施などに取り組むことが必要との考えを示した。
小林会頭はあいさつで7月に発生した熊本地震からの復旧・復興に向けた支援への引き続きの協力を呼び掛けるとともに、力強い経済への移行を確かなものとするため、「成長戦略の着実な実施」「変革と共創による中小企業の稼ぐ力の強化」「地域の中核を担う商工会議所機能の強化」などを提示した。
変革と共創による中小企業の稼ぐ力の強化に向けては、成長型経済の主役は中小企業・小規模事業者であることから、自己変革による「稼ぐ力」を抜本的に強化し、持続的な賃上げに取り組むことが不可欠と強調。価格転嫁・取引適正化のさらなる徹底による共存共栄を図るとともに、AXなどを通した業務改革を大胆に進めていく重要性を訴えた。
また、今秋に開幕する「アジア・アジアパラ競技大会」および2027年3月の「2027国際園芸博覧会」が控えていることから、「国際的なビッグイベントを起爆剤として、地域の稼ぐ力を一層高めていく」と述べた。
地域の中核を担う商工会議所機能の強化については、近年、地域や事業者が直面する課題が高度化・多様化する中において「中小企業・小規模事業者に寄り添った伴走支援、行政をはじめ多様な主体との共創を通じて地域活性化を担う商工会議所に対する期待の高まりがある」と言及。それを踏まえ、地域産業人材育成に資する検定試験や保険・共済などの収益事業の拡大、デジタル化の推進、職員の能力開発や待遇向上などの「組織力と財政基盤の強化」の重要性を訴えた。併せて、各地商工会議所に対し、中小企業・小規模事業者に自己変革を促す「経営指導員」の拡充、待遇改善など行政への力強い働きかけの協力を呼び掛けた。
総会では、高市早苗内閣総理大臣がビデオメッセージであいさつしたほか、来賓として井野俊郎経済産業副大臣らが出席した。高市首相は、日本列島を強く豊かにしていくため、GDP拡大の下での好循環実現に向けた「国内投資のてこ入れ」が必要と明言。また、日本列島に「産業クラスターの花」を咲かせるため、政府と経済界が二人三脚で大胆な投資に取り組むことに期待を寄せた。
特に、新たな「『強く豊かな日本』投資枠」を活用し、企業の予見可能性を高め、官民の知恵を結集したチャレンジを引き出していくことを強調。同時に、プッシュ型の伴走支援や、生産性向上・省力化支援などの持続的な賃上げ環境の整備に取り組む方針を掲げた。
井野副大臣は、AI・半導体やバイオ、エネルギー・GXなどの戦略分野を中心に、官民の積極的な投資を引き出していく方針を表明。また、概算要求において、「強く豊かな日本」投資枠として、約6.3兆円を盛り込み、中堅企業・中小企業向けの投資支援などを行っていく意欲を示した。
総会議事では、「2025年度事業報告(案)」と「同収支決算(案)」が異議なく承認された。
