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アジアの風〜ビジネスの先を読む〜 コロナ感染異聞

中国では手洗いなど衛生面の指導がマニュアルなどで強化されている(上海市長寧区で配布されたマニュアル)

新型コロナウイルス感染症は中国や日本、韓国から米欧、中東など100カ国以上に拡大した。もはやアジアだけの問題ではないが、感染終息後、すなわち「アフター・コロナ」の世界で最も大きな変化を遂げるのはアジアだろう。

想定すべき変化では、当たり前だが第一に衛生観念の向上、清潔さの追求が起こる。これまで帰宅後や食事前にせっけんで手を洗う習慣が定着していなかった中国や東南アジア各国で最近、空港や駅、ショッピングモールのトイレにせっけんが常備され、手を洗う人の列ができているのは新しい光景だ。そうした直接的な衛生関連商品の市場は拡大期に入るだろう。消毒・殺菌機能と香りなどの付加価値を考えると、日本製商品のチャンスである。

第二に「内食(うちしょく)」、つまり家のキッチンで素材から調理したり、加工食品を使ったりする家庭内での食事の増加である。アジアでは外食・屋台文化の伝統があり、子どもが自宅ではなく学校近くの屋台で朝食を取るといった日本では考えられない習慣の地域もある。ただ、コロナ感染以降、レストランなどでの外食を忌避したり、屋台での惣菜購入を避けたりする動きが強まっており、自分で安全な食材を選び、自分で調理することに目覚める人が確実に増えている。そこでも日本メーカーの冷凍食品や加工食品、調味料などが売り上げを伸ばす機会が訪れる。単に衛生面で安心というだけではなく、おいしさという付加価値がポイントになる。

第三に来るのは、エンターテインメントの変化だろう。感染症が恒常化すれば、家族連れが休日に出かける先は変化する。人の密集する繁華街や映画館よりもアウトドア・レジャーが増える可能性がある。自動車であればSUVが選好され、衣料品・靴などもアウトドア向けの需要が伸びるだろう。ライフスタイル提案型のショップや雑誌なども人気を集めると思われる。いずれも日本企業にとって得意分野であり、地場企業と差別化できる部分だ。

2003年のSARS感染の際には、勃興期のEコマースが中国で劇的に台頭し、販売チャネルの革新が起きたが、今回はすでにアジア各国ともEコマースは定着、むしろ過当競争に陥っている。変化が起こるとすれば、チャネルではなく、売れ筋商品の分野シフトだろう。そこでは高いから売れるわけではなく、商品の持つ安心感、質感とコンセプトが成功の鍵を握っている。

(3月15日執筆)

後藤 康浩(ごとう・やすひろ) 亜細亜大学 都市創造学部教授 早稲田大学政経学部卒、豪ボンド大学MBA取得。1984年日本経済新聞社入社、国際部、産業部のほかバーレーン、ロンドン、北京などに駐在。編集委員、論説委員、アジア部長などを歴任した。2016年4月から現職。アジアの産業、マクロ経済やモノづくり、エネルギー問題などが専門

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