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コラム石垣 2019年12月1日号 丁野朗

聖域として知られる沖縄・久高島の御嶽(うたき)に立ち入る観光客が後を絶たず、SNSなどには、立ち入り禁止区域の写真投稿が相次いで島民が頭を抱えているという。11月初旬に掲載された琉球新報の記事に大きな衝撃を受けた。久高島には、琉球の創世神・アマミキヨが七つの御嶽をつくられたというが、これらは立ち入り禁止や遊泳禁止とされている。入口には、「最高の聖域であり、何人たりとも出入り禁止」と書かれた看板も設置されている。

▼一方で、訪日外国人観光客の増加を期して、2016年3月に発表された「明日の日本を支える観光ビジョン」では、文化財の抜本的な公開・活用に向けて舵(かじ)が切られた。しかし、こうした傍若無人な観光客の在り方は、文化資源の公開・活用の政策にも大きな課題を突き付けている。

▼文化財は、京都、奈良など、これまでも観光の大きな目玉となってきた。半面、それは著名な寺社仏閣など、限られた文化財であり、多くの地域では、保全優先で公開・活用には多くの制約もあった。

▼文化財の保存と活用は古くて新しいテーマである。文化財の保存には、膨大な費用がかかり、所有者だけの力では限界もある。貴重な文化財の劣化や放棄など、深刻な事態に直面しているところも少なくない。だから、「活用なければ保存なし」という文化財行政の大きな転換も時代の流れではある。

▼観光の「光」である文化財は、本来、心を込めて見せていただくものであり、その保全には観光客も一定の対価を払うのが当然である。従って、保全すべき特定エリアの公開には、地域保全のための入域税などによる特定財源の確保など、新たな観光ルールの創設が急務といえる。

(東洋大学大学院国際観光学部客員教授・丁野朗)

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