江戸時代、茶の湯の進展とともに花開いた盛岡の鉄器文化。歴代の南部藩主に加護されながら技が磨き上げられ、南部鉄器の名声は湯釜や鉄瓶とともに全国に広まった。伝統と革新――。1902(明治35)年の創業以来、400年を越える南部鉄器の伝統を守りながら現代の暮らしにもなじむ製品づくりに取り組んでいる「岩鋳」。県内で唯一、デザインから販売までの一貫生産体制で、年間100万点にも及ぶ製品を国内外に送り出している。
今回、経済産業大臣賞に輝いた「風鈴 折り鶴」は、平和の象徴である折り鶴がモチーフ。飾りの折り鶴のみならず、鐘部分も折り紙の風合いが再現されている。大正の中頃、風流を好む盛岡の釜師が手遊びでつくったのが始まりといわれている風鈴。風鈴のあの高く澄んだ音を出すには、通常の鉄より硬い材質につくる必要がある。涼しげな南部鉄器の透き通るような美しい音色に癒やされること間違いなし。
審査員からは、「涼やかな音色が印象的」「鉄器と折り鶴が外国人向けで良い」などと評価の声が上がった。
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