4月7日に政府による「緊急事態宣言」が発令される1週間前の3月30日、日本商工会議所は全国515商工会議所を通じて寄せられた会員事業者の声を基に「新型コロナウイルスの感染拡大に伴う経済対策に関する緊急要望〜感染拡大防止の徹底と地域経済社会への影響の最小化に向けて〜」を取りまとめ、政府に提出しました。本要望の概要を紹介します。
要望全文はこちら
https://www.jcci.or.jp/recommend/2020/0330140000.html
* すでに本要望の一部は、関係省庁によって実施されています(4月22日現在)。
緊急要望の概要
倒産・廃業防止のための前例にとらわれない緊急対策
1. 資金繰り関連
・中小・小規模事業者の事業継続に資する大胆な給付金制度の創設
・迅速な無利子・無担保融資の実行に向けた金融機関の機能強化
・民間金融機関融資の実質無利子化・無保証料化などの推進
・新型コロナウイルス対策マル経融資の全額利子補給制度などの推進
・既往債務の条件変更や返済猶予などの柔軟な対応
・二重債務の負担軽減
・国税・地方税の納税猶予、固定資産税の減免など
・社会保険料などの減免
2. 雇用維持関連
・雇用調整助成金の支給要件緩和、助成率の引き上げ、支給の迅速化など
・オンライン就職相談・面談など、採用活動への支援
・時間外労働等改善助成金の拡充
・教育訓練給付金の要件緩和
・中小・小規模事業者の経営実態を踏まえた最低賃金の適正な水準の決定
・雇用保険特別会計や事業主拠出金の積立金残高に応じた国庫負担による補填(ほてん)
・現下の状況に配慮した働き方改革関連法の中小・小規模事業者への運用
3. 取引環境の適正化
・混乱に乗じた、中小・小規模事業者への取引上のしわ寄せ防止
・大企業と中小企業の共存共栄に向けた取引価格など取引環境の適正化への取り組みの加速
徹底した感染拡大防止の下、地域経済社会への影響を最小限に留める対策
・イベント自粛の是非や実施方法に関するきめ細かい明確なガイドラインの早期作成
・需要が激減している地域の特産品店や飲食店などの販売促進に資するEコマース、各種イベントのライブ配信などを活用した需要回復支援
・テレワークやオンライン会議など、働き方改革を見据えたデジタル技術の活用促進
経済のV字回復に向けた大胆な経済対策
1. 急激に落ち込んだ需要をV字回復させるための大胆な措置
<1>大胆な個人消費の喚起策
・消費の早期回復を加速させる大胆な家計支援の実行
・旅行や飲食、イベントなどの需要を喚起し、国内の人の動きを活発化させるための方策
<2>企業の活力を取り戻す方策
・売上向上などに取り組む中小・小規模事業者への支援拡充
・イベント・展示会・商談会などの開催による販路拡大への支援
・魅力ある製品・サービス創出への挑戦支援
・企業消費を促す交際費課税の緩和
2. 中長期的な成長基盤の強化
<1>デジタル化による生産性向上・社会構造の変革
・デジタル化の加速、省人化・効率化に資する設備投資の促進
・マイナポイントの活用による消費活性化とマイナンバーカードの普及促進
・一定程度、規制緩和が進んでいるオンライン診療・服薬指導の活用の加速
・教育のICT化の取り組みの加速
<2>企業の成長を促す基盤整備
・毀損(きそん)したサプライチェーンの国内回帰による再構築支援
・価値ある事業の次代への承継に向けた事業引継ぎ・創業支援の推進
・感染症対策を含むBCP(事業継続計画)策定の推進
・事業構造改革に取り組む中小・小規模事業者の事業再編・統合を後押しする税制措置の創設
新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐには、3密(密閉、密集、密接)の回避が必須です。そのため企業には「テレワーク(在宅勤務)」のほか、「時差出勤」「時短勤務」などの工夫により、最低7割、極力8割の接触機会削減が求められます。
経済産業省等の中小企業支援策(令和2年4月22日時点)
経済産業省(経産省)等は、新型コロナウイルス感染症で影響を受ける事業者のために「資金繰り」「給付金」「設備投資・販路開拓」「経営環境の整備」などに関する支援を行っています。
* 本記事に取り上げた経産省等の支援策は、同省が発表した「新型コロナウイルス感染症で影響を受ける事業者の皆様へ」より、日本商工会議所が特に中小企業の経営者の皆様にとって重要であると思われる部分を抜粋して掲載しています。全文をご確認いただく場合は、下記の特設ページをご参照ください。
1. 資金繰り支援
セーフティネット保証4号・5号
経営の安定に支障が生じている中小企業者を、一般保証(最大2.8億円)とは別枠で保証の対象とする資金繰り支援制度
お問い合わせ先
最寄りの信用保証協会
https://zenshinhoren.or.jp/others/nearest.html
信用保証付き融資における保証料・利子減免
都道府県等による制度融資を活用して、民間金融機関にも実質無利子・無担保・据置最大5年・保証料減免の融資を拡大。さらに、信用保証付き既往債務も制度融資を活用した実質無利子融資に借換可能。
お問い合わせ先
中小企業金融・給付金相談窓口 0570ー783183 ※平日・休日 9時~17時
新型コロナウイルス特別貸付(政府系融資)
信用力や担保によらず一律金利とし、融資後の3年間まで0.9%の金利引き下げを実施。据置期間は最長5年。
お問い合わせ先
〈平日の相談〉
日本公庫 事業資金相談ダイヤル:0120-154-505
沖縄公庫 融資第二部中小企業融資第一班:098-941-1785
〈土日・祝日の相談〉
日本公庫:0120-112476(国民)、0120-327790(中小)
沖縄公庫:098-941-1795
マル経融資の金利引き下げ(新型コロナウイルス対策マル経融資)
お問い合わせ先
最寄りの商工会議所
https://www5.cin.or.jp/ccilist
特別利子補給制度
日本政策金融公庫等の「新型コロナウイルス感染症特別貸付」「新型コロナウイルス対策マル経融資」等もしくは商工中金等による「危機対応融資」により借入を行った中小企業者等のうち、売上高が急減した事業者などに対して、利子補給を実施。公庫等の既往債務の借換も実質無利子化の対象になる。
お問い合わせ先
中小企業金融・給付金相談窓口 0570ー783183 ※平日・休日 9時~17時
2. 給付金
持続化給付金
感染症拡大により、特に大きな影響を受けている事業者に対して、事業の継続を支え、再起の糧となる、事業全般に広く使える給付金を支給する。
お問い合わせ先
中小企業金融・給付金相談窓口 0570ー783183 ※平日・休日 9時~17時
https://www.meti.go.jp/covid-19/pdf/kyufukin.pdf
3. 設備投資・販路開拓(生産性革命推進事業)
ものづくり・商業・サービス補助
新製品・サービス開発や生産プロセス改善などのための設備投資などを支援。
お問い合わせ先
ものづくり補助金事務局 050-8880-4053(10時~17時 ※土日・祝日除く)
持続化補助
小規模事業者の販路開拓などのための取り組みを支援。
お問い合わせ先
日本商工会議所小規模事業者持続化補助金事務局 03-6447-2389(9時30分~12時、13時~17時※土日・祝日除く)
IT導入補助
ITツールの導入による業務効率化などを支援。5月下旬からベンダー・ツール登録を開始し、6月中旬から補助事業者の公募開始予定。テレワーク環境整備等に取り組む事業者を優先的に支援する「特別枠」では、パソコン等のレンタルにも利用可能。
お問い合わせ先
一般社団法人 サービスデザイン推進協議会 0570-666-424(9時30分~17時30分 ※土日・祝日除く)
4. 経営環境の整備
雇用調整助成金の特例措置
経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、労働者に対して一時的に休業、教育訓練又は出向を行い、労働者の雇用維持を図った場合に、休業手当等の一部を助成するもの。
お問い合わせ先
都道府県労働局またはハローワーク。またコールセンターでも雇用調整助成金に関するお問い合わせに対応。0120ー60ー3999(9時~21時 ※土日・祝日含む)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/pageL07.html
納税の猶予の特例
新型コロナウイルス感染症の影響により、多くの事業者の収入が急減しているという状況を踏まえ、2月以降、売り上げが減少(前年同月比▲20%以上)した全ての事業者について、無担保かつ延滞税なしで納税を猶予する。
お問い合わせ先
詳細は、国税庁ホームページでご確認ください。
https://www.mof.go.jp/tax_policy/brochure1.pdf
厚生年金保険料等の猶予制度
新型コロナウイルス感染症の影響により、厚生年金保険料等の納付が困難な場合、無担保かつ延滞金なしで1年間、納付を猶予する(税制と同様の措置)
お問い合わせ先
詳細は、厚生労働省ホームページでご確認ください。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_10866.html
最寄りの年金事務所
https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/jigyonushi/sonota/kankayuyo.html
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