北海道・岩見沢市は、空知地域の中心となる、人口約8万7000人の田園都市です。〝空知〟地域はかつて日本産業の近代化を支えた石炭の一大産地として栄えました。しかし、石炭産業の衰退とともに、人口もピーク時の82万から、現在は32万と、大幅に減少しています。この地域は、もしかしたら日本の人口問題の先端地域といえるのかもしれません。
私は、昭和43年に日本経営能率研究所に入所し、企業の経営改善をお手伝いする仕事を経験しました。勤務したのは6年半でしたが、所長の荒木東一郎先生(故人)は日本能率界の大御所で、とても厳しい人でした。直接指導を受ける機会はそう多くはありませんでしたが、若いうちに現場の生きた経営学を勉強する機会に恵まれたことは後の自分にとって非常に幸運であったと思っています。
当社は、丸太を専門に扱う昭和木材として昭和34年に創業。他社との差別化を図るために、特殊な商品、特定分野を専門的に扱うことは非常に有効です。当社も、丸太の品ぞろえと豊富な在庫で、信頼を勝ち取ることができました。しかし、建設業界は浮き沈みが激しく企業倒産の多い業界でもあります。当社は良好な関係を築いたお客さまとの関係を維持しながら、時代やニーズの変化に対応し、取扱商品や事業を拡大してきました。平成10年には、社名を「昭和マテリアル」に変更。今では、木材加工・建設工事などに伴い発生する樹木系廃棄物のリサイクルにも取り組んでいます。ただ、事業の核は、やはり「木材」です。木材の特性を生かし、高度活用を目指した研究も進めています。軟弱地盤の改良用に開発されたパイルネット工法は、全国で実績を積み上げていますし、「環境パイル工法」(住宅建設の地盤改良工法)や「LP-LiC工法」(地震による液状化現象対策)なども共同研究によって事業化し、推進しています。
かつて石炭で栄えた岩見沢は現在、肥沃な大地と豊富な水に恵まれていることから農業が基幹産業になっており、全国でも有数のコメの生産地になっています。また、気候・風土がワイン用ブドウの生産に適しており、ワイナリーの集積が進んできました。今後は、これを活用し、新たな観光メニューの開発にも力を入れていきたいと考えています。
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