ニッチの需要をつかみ求められるサービスを提供
株式会社クリフ 代表取締役 石山 純恵
第45回全国商工会議所女性会連合会宮城全国大会で「第12回女性起業家大賞」最優秀賞に選ばれた石山さんに創業のきっかけや今後の抱負などを聞いた。
自分で職をつくるため一念発起して起業
起業のきっかけは、離婚し、子ども2人を抱えて職を探していましたが、なかなか見つからなかったことです。そこで、自分で起業することにしたのです。平成20年のことでした。
まず、企業内部で行う英語研修事業からスタート。次に保育園での英語レッスンも始めました。企業では、授業中の英会話を通じて、社員が持つ不満や課題が聞こえてきました。そこで、これらの改善策を企業に提案。これが当社のコンサルタント業務の始まりです。
職場内のコミュニケーションが不足していたある企業には、社内での「お祭り」の開催を持ちかけました。すると大盛況。これは、その企業にとってもプラスになる提案でした。
女性が活躍する場をつくり社会進出をお手伝い
行政の補助を受けてインターンシップ制度を導入し、職業訓練に来ていた人の中から良い人材を採用しました。この時の行政手続きの経験は、後にさまざまな事務を受託する際に役に立ちました。
また、当社では女性を積極的に採用しています。勤務時間のシフトも融通を利かせて対応しています。女性は、社会に出て働き、見られることで美しくなります。私は、子育てが終わっても家にこもったままの女性たちに社会との接点を提供したいのです。
こうした活動が評価され、地元の銀行に勤務する女性を対象とした管理職登用セミナーにも講師として迎えられるようになりました。
商工会議所のセミナーで積極的に人脈つくり
英語の事業でも、お客さまのニーズは拡大していきました。研修の次には、会社案内や製品の取扱説明書の英訳の依頼を受け、翻訳業に着手。料金は他社より少々高めですが、納期と品質で勝負しています。1週間の納期ならば、3日で納品するなど、お客さまが期待している以上の出来に仕上げることをモットーに頑張ってきました。
創業当時、福島商工会議所と同じビルに入居していたこともあり、商工会議所主催のセミナーには積極的に参加。受講後に講師や出席された方々にお礼のメールを送るようにして人脈を広げていました。
そんなとき、東日本大震災が発生。福島では、原子力発電所の事故の影響で国際会議が増え、翻訳の仕事も増えました。高度に専門的な知識が求められる内容のものが多いですが、しっかりと対応しています。現在は、資料の翻訳だけでなく、会議に同席して議事録を作成するサービスも行っています。
一方で、会社を設立する前から、学童保育クラブを運営しています。会社と同じ場所にNPO法人を設立し、母親のニーズに合わせたサービスを提供。起業や就職を支援しています。
これまでを振り返ると、目の前のニーズに一つ一つ応えてきたことが、事業の広がりにつながってきたのだと感じてます。
会社データ
社名:株式会社クリフ
所在地:福島市
創業:平成20年
事業概要:人材育成事業、多言語翻訳(事務委託、従業員研修、翻訳・通訳、学童保育サポート、語学教育、留学サポート)
※月刊石垣2014年1月号に掲載された記事です。
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