日商 Assist Biz

更新

コラム石垣 2016年2月21日号 中村恒夫

中国の景気減速に端を発し、世界的な先行き不透明感が増している。前倒しが決まった2017年新卒の採用活動も売り手市場のままだとは限らないだろう。ただ、中堅・中小企業にとって優秀な学生確保には厳しい状況が続くとみられる。

▼学生の間で知名度があるかどうかもさることながら、きちんとした就業規則の有無も重要なポイントだ。学生だけでなくその保護者も、知らない会社に対しては「いわゆるブラック企業ではないか」と疑念を持ちやすい。会社訪問時に、企業としての特長や社内の雰囲気を伝えると同時に、制度面で法律を順守する姿勢を鮮明にすることが望ましい。

▼新人教育の在り方も大切だ。一人前になれるまでのキャリアプランの提示は欠かせない。併せて教育、指導の過程で、上司が新人に過激な発言するのを慎むように「パワハラ規程」のようなものを策定しておくべきだろう。男女雇用機会均等法によってセクハラ対策は義務付けられているが、パワハラに関しては直接の根拠法はない。しかし、社内規則で対策を講じてあると説明できれば学生らの印象も悪くはならないはずだ。

▼その際「あまりに具体的な事例を盛り込むのは避けた方がいい」と労働問題に詳しい大手法律事務所の弁護士は指摘する。例えば、機密性の高い情報の共有を幹部級に絞っていても「業務上必要な情報を与えない」といった項目があれば、それを根拠に訴えられかねない。指導方法、人事異動などに関しても、規則の表現次第では、受け止める側の解釈でパワハラと思われる可能性がある。「身体的・精神的な攻撃」のような抽象的な表現にとどめておいた方が無難であり、実際の運用は別途検討した方が良い。

(時事通信社監査役・中村恒夫)

次の記事

コラム石垣 2016年3月1日号 中山文麿

中山文麿・政治経済社会研究所代表

英理論物理学者のホーキング博士は、人工知能が人間を置き去りにして進化し、2045年に人類を支配・滅亡させると警告した。最近の人工知能の発達に...

前の記事

コラム石垣 2016年2月11日号 丁野朗

公益社団法人日本観光振興協会総合研究所長・丁野朗

いま観光が脚光を浴びている。そのせいか、観光まちづくりやビジョンづくりで各地をお訪ねする機会が大幅に増えた。▼地域で必ず申し上げるのは、俯...

関連記事

コラム石垣 2021年10月1日号 中村恒夫

時事総合研究所客員研究員 中村恒夫

来年に予定される韓国の大統領選では、有力候補の1人がベーシックインカム(最低限所得保障制度)の導入を主張している。日本でも選挙公約に盛り込...

コラム石垣 2021年9月21日号 丁野朗

日本観光振興協会総合研究所顧問 丁野朗

観光にとって地域の文化財や文化資源の重要性は改めて指摘するまでもない。▼昨年5月に制定された文化観光推進法は、博物館・美術館などのミュージ...

コラム石垣 2021年9月11日号 宇津井輝史

コラムニスト 宇津井輝史

人を外見で識別するのは顔である。コロナ禍では、顔という個人情報がマスクで守られる。顔は多くの動物にある。食物の摂取機能からみて顔の始まり...