わが国経済の好循環を実現するためには、「下請等中小企業」の取引条件を改善することが重要です。本コーナーでは、価格交渉力の強化に向けて、どのような取引行為が親事業者の法令違反に該当する恐れがあるのかなどについて解説します。今回は「割引困難な長期手形の交付」ついてご紹介します。
割引困難な長期手形が交付された場合の対応は?
120日(繊維業の場合は90日)を超えるサイトの手形など、下請代金の支払い期日までに一般の金融機関(※)による割引を受けることが困難な手形の交付は、下請代金支払遅延等防止法(下請法)に違反する恐れがあります。なお、下請代金の支払いについて中小企業庁および公正取引委員会では、できる限り現金払いとすることなどを親事業者に要請しています。(平成28年12月「下請代金の支払手段について」通達) (※)預貯金の受け入れと資金の融通をあわせて業とする者をいい、貸金業者は含まれない。
チェックポイント
・手形サイトが120日を超える長期手形(繊維業の場合は90日を超える長期手形)で下請代金の支払いを受けていませんか。
・金融機関から割引を受けられない手形を発注者から交付されていませんか。
・手形の現金化にかかる割引料などのコストを受注者側で負担していませんか。
相談事例
Q.A社(資本金:1000万円)はB社(資本金:9000万円)から機械金属加工の注文を受けていますが、B社の支払い規程は当月末日締め切り・翌月末日支払いとなっています。支払いは手形でなされており、手形のサイトは150日です。このような支払い方法は問題ないのでしょうか。
A.下請代金の支払いが手形による場合は、手形サイトが120日(繊維業は90日)を超えるような長期手形については、一般の金融機関で割引を受けることが困難な手形とされています。そのような手形で下請代金を支払うことにより下請事業者の利益を不当に害すると下請法違反となりますから、改善を求めるとよいでしょう。なお、平成28年12月14日付で中小企業庁および公正取引委員会から親事業者に対して、下請代金の支払いはできる限り現金によるものとすることや、手形のサイトを段階的に60日以内とすることなどの要請文が発せられていますので、これらを参考にして手形サイトの短縮や現金払いについて協議されてはいかがでしょうか。また、協議の交渉経緯などを書面(議事録など)に残すように心掛けましょう。
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提供 公益財団法人 全国中小企業取引振興協会(全取協)
下請取引適正化の推進を目的に、全国48カ所に設置された「下請かけこみ寺」を中小企業庁の委託により運営するなど、中小企業支援機関として各種事業を実施しています。http://www.zenkyo.or.jp
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