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テーマ別企業事例 〇〇産がブランドになる 「産地名」にこだわるものづくり

事例3 地域の伝統工芸と連携し、改築を超えた“住宅再生”で業績を上げる

喜多ハウジング(石川県金沢市)

古民家リフォーム前の外観

きっかけは、ある顧客の一言だった。かつて両親が住んでいた古民家を改修したいというリクエストに、同社は風情を生かしたリフォームを提案した。その一環として、トイレに有田焼の手洗いボウルを勧めたところ、「なぜ有田焼?」と不思議な顔をされた。

「言われてみればそうだな、と。当時、商品化されていた手洗いボウルが有田焼だったので、あまり深く考えずに採用していたんですが、せっかく石川県には九谷焼があるのだから、と早速作家さんにつくってもらうことにしました」と同社常務取締役の今井猛さんは当時を振り返る。

地元が誇る伝統産業や建築様式を一から学ぶ

同社はこれを機に、地域の伝統工芸に着目する。九谷焼、珠洲焼、二俣和紙、加賀友禅、山中漆器、金箔などを建材やインテリアにどう活用できるか模索した。同時に、古民家や町家の風情を生かしたリフォーム提案を開始し、部分的なものから家全体の改修へとシフトして、他社との差別化を図った。

とはいえ、商品をつくる過程では思わぬ苦労があった。

「例えば、九谷焼の手洗いボウルは簡単なようで、実は最も大変でした。磁器は焼くと縮むので、排水口用の穴も小さくなり、金具のサイズと合わなくなってしまうんです。収縮率を計算しても焼き上がりがその通りになるとは限らず、湿度によっても変わってくるので、商品化するまでかなり時間がかかりました」と〝キタデザ〟ことキタデザインチームの1人、時長あやかさんは開発時の苦労を語る。

それだけではない。一口に古民家といってもさまざまなタイプがあり、金沢には前田藩士時代からの武士系住宅や金沢町家、南加賀地域には大規模な農家住宅である加賀Ⅰ型、繊維産業で栄えた小松町家というように、建築様式はそれぞれ微妙に異なる。金沢町家に小松町家の様式を取り入れると、ちぐはぐになってしまうのだ。そこで社内に地域建築研究会をつくり、それぞれの古民家のタイプに合ったリフォーム提案ができるように勉強を重ねていった。そうした努力が実り、地域になじんだ外観、こだわりの建具やインテリアが施されたオンリーワンのリフォームを確立し、高い顧客満足を得るに至った。

51対49の関係を築き顧客の信用を得る

人気の理由は見た目の良さだけではない。顧客のライフプランに基づいた住まい方を提案しているのも大きい。同社では初めに老朽化や耐震、温熱などの住宅診断を行い、現状を把握する。その上で住む人のライフプラン表を作成し、経過年数に応じてどんなリフォームが必要かを提示するため、お客さまは10年、20年後を見据えた住まいを検討できるわけだ。その結果、どうしても改修規模が大きくなる。

「すると改修費だけでなく、のちの相続税や贈与税などにも関わってきます。そこで当社では、建築士やファイナンシャルプランナーの資格を持つ社員が、施工から資金、ライフスタイルまでトータルにサポートし、お客さまの疑問や不安の解消に努めています」と今井さんは説明する。

こうして相談や打ち合わせを重ねていく上で、お客さまと「51対49」の関係を築くようにしているのも同社の特徴だ。もちろんお客さまと対等ではないが、迎合もしないことをポリシーとしている。

「お客さまの要望だからといって言いなりになるのではなく、できないことはできないとはっきり伝えています。住宅診断を行い、ライフプラン表を提示した上で、『こうした根拠でこれはできないんですよ』『5年後にこんなことが起こる可能性があるから、これをお勧めしているんですよ』と伝えれば、お客さまも納得して満足のいくリフォームになります」と橘さんは力を込める。

じっくりと時間をかけて積み上げていく同社の地産地消リフォームは、一見非効率のようにも見える。しかし、だからこそ競合する他社もほとんどなく、同社独自のリフォームとして地域に定着した。数々のコンテストでも高く評価され、プロジェクト開始当時から売り上げが2倍に伸びるなど業績にも結び付いている。

「今後も着実に請負件数を増やしながら、『喜多ハウジングっていいよね』と言ってもらえる仕事を提供していきたい」と今井さんは締めくくった。

会社データ

社名:喜多ハウジング株式会社

所在地:石川県金沢市新保本3-3

電話:076-249-4211

HP:https://www.kita-net.co.jp/

代表者:西谷 清 代表取締役社長

従業員:70人

※月刊石垣2018年2月号に掲載された記事です。

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