政府はこのほど、地方創生施策推進に向けた「まち・ひと・しごと創生基本方針」を閣議決定した。人口減少や東京一極集中の是正、ローカル・アベノミクス実現などにより地域活性化を目指す具体策を提示。各府省庁の来年度予算編成に反映させる。
基本方針では、今年度中に「地方版総合戦略」が策定され、28年度から具体的事業が本格的に推進する段階に移行することから、年末の国の総合戦略改訂を通じた、来年度以降の施策展開の方向性を示した。具体的には、「地方創生の深化」に向け、「稼ぐ力」「地域の総合戦略」「民の知見」を引き出す取り組みでローカル・アベノミクスを実現。官民協働や地域連携などの新たな枠組みづくりも提言している。
そのための政策として、「地方にしごとをつくり、安心して働けるようにする」「地方への新しいひとの流れをつくる」「若い世代の結婚・出産・子育ての希望をかなえる」「時代に合った地域をつくり、安心なくらしを守るとともに、地域と地域を連携する」の4つの柱を提示。雇用創出や魅力的な地域づくりに取り組む先進的な自治体向けに「新型交付金」も創設する。
「稼ぐ力」を引き出すため、生産性の高い、活力にあふれた地域経済構築に向けた総合的な取り組みを推進。地域の観光戦略作成の司令塔となる「日本版DMO(地域観光マネジメント機構)」の設置を推進し、訪日外国人増加を目指すことや、農林水産業の成長産業化に向けた施策の充実なども盛り込んだ。
東京圏など都市部の高齢者に地方移住を促す「日本版CCRC」構想の推進とともに、企業や政府機関の地方移転を促進。地方大学の活性化などを通じて、若者が地方で活躍する環境を整備する。
少子化対策については、地域の実情に即した地方の取り組みを主力とする「地域アプローチ」を展開。出産・子育て支援に力を入れるほか、仕事と育児の両立に向けた「働き方改革」を推進する。
広域的な官民連携、地域連携も推進する。地域医療介護提供体制の整備に向け、公立病院改革に取り組むほか、東京圏(千葉、埼玉、東京、神奈川の4都県)の急速な高齢化・少子化問題に対応。首都圏の高齢者が健康なうちに安心して移住できる環境づくりを進める。
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