Q 平成27年に若者雇用促進法が施行されたと聞きましたが、求人広告の記載で気をつけることはありますか。
A 若者雇用促進法やこれに基づく厚生労働省の指針では、事業主が新卒者などを募集するに際して、職場の就労実態に関して幅広く情報提供をすることや、労働条件を詳細に示すことが求められています。求人広告を作成する場合にも、下記の解説で触れる指針の内容を参考にして、充実した記載内容とする必要があります。
若者雇用促進法とは
若者雇用促進法は、正式名称を「青少年の雇用の促進等に関する法律」といい、平成27年10月から28年4月1日にかけて順次適用が始まりました。この法律は、青少年の適切な職業選択の支援に関する措置や職業能力の開発・向上に関する措置を総合的に規定した法律です。
求人を行う事業主に関連する事項としては、青少年が有する能力を有効に発揮することができるよう努めるべき事業主の責務や、ハローワークにおける求人の不受理制度、新卒者などを募集する際の青少年雇用情報の提供義務などを定めています。
また、同法7条の規定に基づいて「青少年の雇用機会の確保及び職場への定着に関して事業主、職業紹介事業者等その他の関係者が適切に対処するための指針」が定められ、法の施行と同時に適用が開始されました。この指針は、青少年の雇用機会確保や職場定着のために事業主らが講ずべき措置内容が具体的に定められたもので、求人広告についてもこの指針を踏まえて行う必要があります。
若者雇用促進法の施行により求人広告で注意すべき事項
(1)新卒者への情報提供
新卒者を条件として募集する場合には、事業主から労働者に対して就労実態の情報が提供されることが特に重要です。
そのため同法13条では、応募する新卒者に対して幅広い職場情報を提供するよう努めなければならないとし、求めがあった場合には、事業主の義務として一定の情報を提供しなければならないと定めています。
提供すべき情報の具体的内容は、同法施行規則5条に定められた次の事項です。
①募集・採用に関する情報
②職業能力の開発向上状況
③企業における雇用管理の状況
なお、紙幅が限られているため、同法は右記情報の提供方法として求人広告への記載は求めていませんが、マッチング向上目的に照らせば、自社のHPに右記情報を掲載しつつ、求人広告にはそのURLを記載するなどして、青少年雇用情報が早期に提供される措置を取ることが望ましいでしょう。
(2)労働基準法令の遵守
前記指針では、青少年の募集を行う場合に労働条件などを的確に示すことが重要であるとして、虚偽広告は罰則適用のおそれがあること、労働条件や職場環境・業務内容を具体的かつ詳細に明示すること、労働時間や賃金を明示すること、選考で重視する点について情報開示することなど、順守すべき事項が挙げられています。
求人広告に労働条件などを記載する場合には、応募者にとって有益な内容とする必要があります。また固定残業代に関しては賃金に関する事項から独立して定められており、特に注意が必要です。
(3)就活支援サイト
上記指針では就活支援サイトの運営者に対して、(1)の雇用情報の項目が可能な限り全て掲載されるよう取り組むことを求めています。そのため、今後支援サイトに求人広告を掲載する際は雇用情報の全ての項目の情報提供を運営者から求められるかもしれません。
(弁護士・北沢 智)
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