日本商工会議所は12月17日、消費税の軽減税率制度導入による混乱を避けるため、政府・与党が取り組むべき対策について意見書を取りまとめ、政府・与党など関係各方面へ提出した。21日には、日商の三村明夫会頭が首相官邸に菅義偉内閣官房長官を訪ね、直接意見書を手交。三村会頭は、「多くの中小企業に影響が出る。スムーズに制度を実施させなくてはならない」と述べ、必要な対策の確実な実施を要請した。菅官房長官は「しっかりと取り組んでいきたい」と述べた。
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意見書は、12月16日に決定した平成28年度与党税制改正大綱に、平成29年4月からの消費税の軽減税率制度の導入や、平成33年4月からのインボイス制度の導入などが盛り込まれたことを受け、取りまとめたもの。 意見書では、導入まで約1年3カ月という極めて短期間に中小企業をはじめ飲食料品を購買する全ての事業者が経理処理などの変更を余儀なくされると強調。対象品目の線引きや区分経理の方法など、軽減税率制度の詳細を早急に明らかにするとともに、全ての事業者において対応が必要なことから、政府内に総合対策本部を設置するなど、国を挙げて府省庁横断的に対応できる体制を整備すべきとしている。
また、事業者のみならず消費者に対する周知も含め、政府一丸となった広報や説明会の実施、事業者からの相談に対して税務署をはじめ国の出先機関および地方自治体が万全の態勢を整えることを要請。特に、軽減税率の対象かどうかの線引きが不明確な商品に関する照会などについては、短期間で回答し、その内容を全てホームページ上で公表するほか、当分の間、土日・休日・夜間の相談窓口を開設するなどの措置を講じることが必要としている。さらに、事業者のレジスターの導入や、受発注・経理システムの改修の助成など、軽減税率に対応する準備への万全の対策を講じることなども要望している。 インボイス方式の導入については、免税事業者が取引から排除される懸念が残っていることから、今後の徹底した検証を求めている。日商では、今後、事業者の準備の進展状況で新たに必要な措置が発生した場合は、引き続き意見を述べていく方針だ。
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