◆COP21「パリ協定」採択について
フランス・パリで開かれたCOP21(国連気候変動枠組条約第21回締約国会議)において、温室効果ガス削減のため、すべての国が参加する、2020年以降の新たな国際枠組み「パリ協定」が採択されたことを歓迎する。丸川大臣はじめ交渉参加各国担当閣僚のリーダーシップと政治的決断、またこれまで昼夜を問わず交渉にあたられた各国交渉官の尽力に敬意を表したい。
1997年のCOP3で採択された「京都議定書」では、日本を含む先進国のみが条約上の数値目標を伴う温室効果ガス排出量の削減義務を負うものであった。今回の「パリ協定」では、中国や米国をはじめ途上国を含む全ての国が協調して温室効果ガス削減に取り組む新たな国際枠組みが構築されたことを評価したい。 今後、世界全体で排出削減を達成する観点から、各国における継続的な温室効果ガス削減に向けたレビューサイクルを実効性あるものとするため、科学的視点から進捗の検証が行われる仕組みが早期に構築されることを望む。
わが国としては、COP21首脳会合で安倍総理が表明したとおり、イノベーションによる革新的な技術開発を推進し、途上国をはじめとする世界各国の排出削減活動を支援することで、世界全体の地球温暖化防止に貢献できるよう、政府においては中小企業への技術開発支援など必要な施策を講じられたい。(12月13日)
◆平成28年度与党税制改正大綱について
本日決定された平成28年度与党税制改正大綱において、法人実効税率の20%台への引き下げが盛り込まれたことは、安倍内閣が目指している「強い経済」の実現に向け、対日投資の促進や企業の国際競争力強化に資するものとして、評価する。また、中小企業が新規に取得する機械・装置等について固定資産税が減免されることにより、中小企業の生産性向上に向けた設備投資が促進されるものと期待する。
中小法人課税に関しては、昨年度に引き続き、そのあり方について検討課題とされているが、中小企業の実態や特性を踏まえ、中小企業基本法をはじめ中小企業政策と整合性を合わせて検討すべきであり、その際には地域経済と雇用を支える中小企業の活性化を図ることが不可欠である。特に、外形標準課税については、中堅企業への配慮や中小企業への適用拡大が見送られたことは一定の評価をするものの、従業員給与に課税する賃金課税であり、中小企業への適用拡大は今後もあってはならない。
消費税の複数税率については、社会保障財源を毀損することや、対象品目の線引きが困難であること、中小企業に過度な事務負担を強いることから導入すべきでないと繰り返し主張してきた。今般、平成29年4月の消費税率10%への引き上げと同時に、酒類・外食を除く飲食料品を対象に導入することが盛り込まれたことは、大変残念である。導入時までに、対象となる多くの事業者の準備が間に合わない可能性があることから、政府、自治体と事業者など、官民一丸となって混乱を最小限に抑えるための取り組みが必要不可欠である。日本商工会議所としても、各地商工会議所と連携し、支援に全力で取り組んでいく所存である。
また、平成33年度に導入が明記されたインボイスについては、800万にも及ぶ全ての事業者が対象となるうえ、免税事業者が取引から排除される懸念がある。免税事業者の取引の実態を徹底的に検証し、取引排除につながらないよう、万全の対策を講じる必要がある。(12月16日)
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