今月は、独特の趣がある本場結城紬(ゆうきつむぎ)の眼鏡ケースをご紹介します。
蚕の繭を煮て引き伸ばし、綿状にしたのが真綿です。この真綿から撚(よ)りを掛けずにつむぎ出した糸で織るのが結城紬。歴史は古く、常陸(ひたち)の国の特産物として朝廷に上納された布が、正倉院に収められているほどです。軽く、温かく、高級感のある艶やかな風合いが、粋好みの着物地として、時代を超えて愛されてきました。
結城紬の特徴は密度の高さにあり、1360本もの経(たて)糸を使って織り上げます。また、織り上げる前の糸の段階で染めることから、プリント生地にはない、自然で豊かな表情が生まれるのです。
明治40年創業の「奥順(おくじゅん)」は、長年結城紬の発展に寄与してきた産地問屋。近年は、職人の提案から生まれたショールや小物など、時代に添った製品も手掛けるようになりました。この眼鏡ケースにも、使い込むほどに艶を増し、長く愛用できる結城紬ならではの魅力があふれています。
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