宇和島を代表する庶民の味、じゃこ天。噛(か)んだときに歯を押し返すような弾力性、少しジャリっとした食感、独特の風味……ほかの練り物と一線を画したうまみがある。じゃこ天のおもな原料は、ホタルジャコ(現地通称:ハランボ)。スズキ科の魚で、宇和海を中心に生息している。刺し身でも食べられるが、捕獲されたホタルジャコの95%以上は練り製品に加工される。
出来上がったすり身は、型に入れて手押しし、180~190℃の菜種油で約3分間揚げる。揚げたてのじゃこ天は、餅のようにぷくーっと膨れているが、すぐに空気が抜けてペシャンコになる。はふはふ、ふほほ、ハランボの髄まで味わって満足。
「切ったりしないで、一枚まるごとをそのままかぶりついてください。うまさが違いますから」と話すのは、野中かまぼこ店の野中統さん。明治40年創業の老舗の四代目だ。
土産に買って帰ったら、オーブントースターなどで素焼きにすると、揚げたての味に近くなる。ショウガや大根おろしを添えて出来上がり。あるいは、ちらし寿司の具に、煮物に、カレーの具にもOK。宇和島のじゃこ天は、一度食べたらやみつきになる。
Data
社名:野中かまぼこ店
住所:愛媛県宇和島市堀端町1-53
電話:0895-25-7711
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