日本商工会議所は11月16日、意見書「今後の外国人材の受け入れの在り方に関する意見~『開かれた日本』の実現に向けた新たな受け入れ策の構築を~」を取りまとめ、政府など関係各方面に提出した。同意見書では、人口減による人手不足を受け、外国人材の受け入れに係わる新たな制度の構築などを求めている。
日本における在留外国人は、2012年から5年間にわたり毎年増加を続け、昨年末には約240万人となった。また、在留外国人のうち日本で就労をしている者も、16年10月末現在で初めて100万人を突破。年々外国人労働者が増加している背景として、人口減少による人手不足が大きな要因であると推測されている。
一方、在留資格別に外国人労働者数を見ると、原則就労が認められない在留資格で就労している者が増加していることから、意見書では、企業が求めるニーズと在留資格が懸け離れていると指摘している。加えて、出入国管理制度発足時とは全く異なる深刻な労働人口の減少やグローバル化の進展といった環境変化に対応するため、現行制度について抜本的な検証・見直しを行う必要があると強調。政府における新たな受け入れ制度の構築に関する検討と、まずは就労が認められる現在の在留資格について、より積極的に外国人材を受け入れるための早急な検証・見直しを求めている。
具体的には、外国人材の受け入れに係わる新たな制度の構築については、受け入れる外国人材は「専門的・技術的分野の外国人」に限定するこれまでの原則に縛られない、より開かれた受け入れ体制の構築や、貴重な外国人材から就労先として日本が選ばれるよう、官民を挙げて受け入れ環境を整備するよう主張。移民政策とは異なる非技術的分野の受け入れ制度の在り方について、課題などを整理する検討の場を政府において早急に設置することを求めている。
また、外国人留学生については、外国人留学生の日本での就職を増加させるため、留学ステージ(段階)に応じた、よりきめ細かな対応を早急に実施することや、日本の大学などを卒業した外国人留学生が、引き続き日本で就労を希望する場合において、卒業生に特化した在留資格を付与(創設)することを要望している。
日商の三村明夫会頭は記者会見で、「われわれは一つの改正に向けた案を出したが、幅広い意見を聞いて、多くの立場で議論した上で改正につなげてもらいたいということであり、その検討の場をつくってほしい」と政府の取り組みに期待を寄せた。
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