日本商工会議所は9月29日、9月の商工会議所LOBO(早期景気観測)調査結果を発表した。調査期間は9月13~20日。422商工会議所が3875企業にヒアリングした。
9月の全産業合計の業況DIは、マイナス15・3と、前月からプラス2・9ポイントの改善となった。ただし、「悪化」から「不変」への変化が押し上げ要因となったことに留意が必要。堅調な建設・設備投資に加え、インバウンドを含む好調な観光需要が全体をけん引した。また、電子部品、自動車関連の生産が引き続き底堅く推移した。他方、人手不足の拡大や、天候不順などによる農水産物の出荷減・価格上昇、消費者の低価格志向を指摘する声は依然として多い。中小企業の景況感は総じて緩やかな回復が続くものの、そのマインドには依然として鈍さが見られる。
ヒアリングした企業からは、「民間工事、公共工事ともに堅調で売り上げは改善傾向。特に、人手不足に対応するためのICT関連工事が増加」(建築工事)、「海外のウェブサイトへの広告掲載などにより、インバウンド需要が増加し、売り上げは改善」(飲食)などの声が寄せられた。一方、「鉄鋼を始めとする建設資材価格の高止まりに加え、人手不足に伴う人件費・外注費の増加により、採算が圧迫」(職別工事)、「パート・アルバイトの採用・定着に難航しており、人材確保が喫緊の経営課題」(小売)といった人手不足への影響を訴える意見も聞かれた。 先行きについては、先行き見通しDIがマイナス15・0(9月比プラス0・3ポイント)とほぼ横ばいを見込む。輸出や設備投資の堅調な推移、秋の行楽シーズンに伴う観光需要の拡大、消費持ち直しなどへの期待感がうかがえる。他方、最低賃金を含め人件費の上昇や受注機会の損失など人手不足の影響拡大、地政学的リスク、運送費・原材料費の上昇などを懸念する声は多く、中小企業においては先行きへの慎重な見方が続いている。
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