家族の負担減らす介護サービス創出
[N.K.Cナーシング コア コーポレーション合同会社 代表社員 神戸 貴子(かんべ・たかこ)
家族だけで抱えないで介護支えるサービス提供
親の介護や看護は〝待ったなし〟です。突然介護をしなければならなくなったとき、遠くで暮らす育児中の娘は親元まですぐに駆け付けられるでしょうか。会社で忙しく働く息子は、すぐに介護休暇を取れるでしょうか。また、子どもがいない高齢者は、介護が必要になったとき誰に助けを求めたらよいのでしょうか。
「親の面倒は子どもが見る」という価値観が根強く残る中、遠距離介護や介護離職を強いられる家族、彼らに遠慮しながら介護を受ける高齢者が大勢います。こうした状況は、介護保険制度が制定された後もずっと続いており、介護を理由に離職する働き盛りの人は、年間約10万人(総務省「平成29年就業構造基本調査」)いると報告されています。
私は、看護師であった経験や、自身も介護と育児を同時に行った経験から、介護保険制度による公的サービスだけでは安心した介護生活は担保されないと痛感しました。そこで、介護で苦しむ人の手助けをしたいと、2014年に介護保険適用外のサービスを提供する「わたしの看護婦さんR」という事業をスタートしました。
潜在看護師の雇用創出も
この事業は、被介護者の通院や外出への付き添い、離れて暮らす親を訪問する見守りなど介護保険では対応できないことを看護師が家族に代わって行うサービス。働き盛りの人々の離職や家庭の負担を減らし、支援します。
創業する10年ほど前、私は伯母の介護を経験しました。2歳と4歳の娘を抱え、「良い嫁でいたい、良い妻でありたい」と必死で頑張りましたが、必ずしも介護を優先できないときもあります。あるとき、ケアマネジャーさんに「伯母の受診に付き添ってもらえないか」と頼むと、返ってきたのは「介護保険では対応できないことです。ご家族で対応してください」という言葉でした。介護保険サービスは、決まった時間、決まった内容、そしてケアマネジャーが計画したことしか対応してもらえないのです。手続きも複雑で、このとき、もう少し気軽に介護サービスが利用できればと思いました。
事業を始めるに当たっては、看護師や介護福祉士の資格を持ちながら育児などのためフルタイムで働けない友人たちに声を掛け、スタッフに起用。彼らの空き時間を活用してサービス提供を開始しました。スタッフが医療の知識や経験のある有資格者であるため介護者には安心して利用してもらえ、一方で潜在資格者の雇用や社会復帰にもつながったと思います。
18年秋からは遠距離介護の問題を解決すべく、介護現場で働きたい人とサービスを利用したい人を結び付けるマッチングアプリケーションの運用を開始。また、関連法人として、遠距離介護支援協会を発足しました。これにより、介護関連の多くの法人とも連携し、〝本当に届けたい介護、受けたい看護〟を創造し、日本の未来を明るくしたいと考えています。
会社データ
社名:N.K.Cナーシング コア コーポレーション合同会社
所在地:鳥取県米子市上後藤2-6-14
電話:0859-30-4856
創業:2014年
事業概要:介護、保育
※月刊石垣2019年1月号に掲載された記事です。
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