八女商工会議所(福岡県)は現在、農作物を食い荒らすイノシシの肉を活用しようと、「イノシシプロジェクト」を推進している。その一環として、2月7~16日の10日間、福岡市と八女市の飲食店13店で「八女ジビエウィーク」を開催し、各店が地元産のイノシシ肉を使ったオリジナルメニューを提供。訪れた客にそのおいしさをPRした。
ジビエとは、野生のイノシシ、シカ、カモなどの食材のこと。これらを使ったジビエ料理は、狩猟が盛んなヨーロッパでは冬の味覚としておなじみだ。
同所では、害獣として年間約2000頭も駆除されてきたイノシシを地域資源と位置付け、魅力ある商品を生み出すべく、昨年度から同プロジェクトを推進。八女産イノシシ肉の良質さを広く知ってもらおうと、同ウィークを福岡市内で初めて開催するなどのPR活動や、ご当地グルメ「八女ジビエイノシシカレー」の開発に力を入れてきた。
今年度は、同ウィークの開催をはじめ、全国的に認知度の高い銘茶「八女茶」に着目し、茶葉を利用したイノシシ肉の簡易熟成技術を確立。うま味成分を3~5倍増加させることに成功した。2月に都内で開催された「feel Nippon 春 2014」でも、この熟成肉を出品、試食した来場者から高評価を得た。同所は現在、イノシシ肉のウィンナーやミートボール、角煮などの加工食品も開発中だ。
八女市では古くからハンターがイノシシを駆除してきたが、食肉処理や販売に必要な免許を持つハンターはわずかに1人。捕獲されたイノシシのほとんどが廃棄されてきた。
同所は、「市内でのイノシシによる被害額は、捕獲や侵入防止などの対策費を含めて年間約2億円と、深刻な状態。八女産イノシシ肉を使って〝真においしいジビエ料理〟をPRし、新たな産業や雇用創出につなげたい」と話している。
問い合わせは、同所(☎0943・22・5161)まで。
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