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コラム石垣 2017年9月21日号 中村恒夫

「トップになって見える景色が変わった」。大手企業の取締役を務めていた知人は、今夏を前に、温和な人柄と経営手腕を買われて、中堅企業の社長に転じた。「取締役と社長の考えることが、こんなに違うとは思わなかった」と重責を担う感想を漏らす。さらに、就任からあまり経過していないにもかかわらず、会社の生き残りをかけて、同業者との経営統合も検討するようになったという。

▼中堅企業では、技術力・商品力を背景にグローバルなマーケットに販路を広げられるメーカーもあれば、顧客が国内の一部地域に限定されるサービス関連の会社も少なくない。後者の場合、少子・高齢化は売上高の減少に直結する。特に取扱商品で差別化が図りにくければ、地域金融機関の統合を政府が促していることでも分かるように、全ての企業が現状の形で経営を存続するのは難しくなるだろう。

▼一口に統合と言っても、いろいろなケースが考えられる。持ち株会社を設立し、既存の企業を傘下に持つ方式のほか、対等合併、あるいは買収などが想定される。どの方法を選択するにしても、管理部門のスリム化は必達目標だと言える。社長になった知人も「統合が現実になる事態に備えて管理部門の見直しを行うことにした」と話す。一方で、厚生年金制度の改正や働き方改革などに伴い、企業の管理部門が担う仕事は増えこそすれ、軽減しにくいのが実情だ。

▼管理業務ごと外部に委託する企業も珍しくないが、経営企画のように切り離せない職場もある。逆に販売や営業を含めた既存の組織を再構築する好機だと受け止めることもできる。見直しに前向きに取り組んだ企業こそ、統合の交渉でも優位に立てるはずだ。

(時事通信社取締役・中村恒夫)

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