日本商工会議所の三村明夫会頭は8月1日、経済産業省の第21回産業構造審議会総会に出席した。会合では、「平成30年度経済産業政策の重点」の案について議論した。経済産業省が示した案は、「コネクテッド・インダストリーズなどを通じたソサエティー5・0の実現」「対外経済政策の展開」「産業安全保障の抜本強化/強い産業基盤の構築」「中小企業などによる地域未来投資の加速化」「環境・エネルギー制約の克服と投資拡大」の5つの柱で構成されている。
三村会頭は、中小企業が直面している最大の経営課題である人手不足に対して、IT・IoTやロボットなどの導入・活用を通じた生産性向上の重要性を指摘。特に、生産性が低いサービス業に多い小規模事業者におけるIT活用の推進に向け、安くて簡便な手段であるクラウドサービスの活用を求めた。また、IT化などを小規模事業者だけでなく社会全体で促進するためには、その活用が身近で便利なものであるという気付きを促すことが重要であることから、各地域にIoTやロボットなどの最新機器を体験できるようなスペースを整備することなどを提案した。
一方、政府が進めている「働き方改革」については、大企業の働き方改革を進めることで、中小企業に対し、業務負荷や不公正な取引条件を押し付けることがないよう、しっかりとした監督を行うよう要請。今年度の最低賃金の引き上げについて、厚生労働省の審議会が全国平均で過去最大の引き上げ幅となる25円の目安を示したことに対しても、最低賃金の上昇部分が価格転嫁できるよう、監督強化や転嫁支援を求めた。
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