政府の電力需給検証小委員会の委員を務める清水宏和中小企業政策専門委員(清水印刷紙工株式会社代表取締役社長)は5月12日、宮城県女川町の東北電力女川原子力発電所を訪問。東日本大震災による被害状況および安全性向上に向けた取り組みについて説明を受けるとともに、海抜17mの防潮堤を同29mへと嵩上げする工事現場などを視察した。
女川原発は震源地から最も近い原発であったにも関わらず、被災された地域住民を最大でおよそ360名、3カ月間原発敷地内に受け入れるとともに、発災の翌日(3月12日)までに原子炉を「止める」「冷やす」、放射性物質を「閉じ込める」ことに成功し、原子力発電所機能の安全な停止を実現した。
発電所機能の安全停止の実現は、国際原子力機関(IAEA)にも注目された。IAEAは24年7月下旬から8月上旬にかけての約2週間、発電所の被害状況などについての現場調査、発電所員に対するヒアリング調査などを実施。25年4月に公表された最終報告書では、「女川原子力発電所は、地震動の大きさ、震源からの距離、継続時間などの厳しい状況下にあったが、〝驚くほど損傷を受けていない〟(〝Remarkably Undamaged〟)」と評価された。
東北電力は、女川原発2号機について、昨年12月に原子力規制委員会に新規制基準の適合性審査を申請。電源車配備など緊急的な対策に加え、基準地震動の引き上げとそれに伴う耐震工事、想定津波の高さの引き上げとそれに対応する防潮堤の嵩上げ工事などの安全対策を着実に進めている。
また、商工会議所などからの視察の希望にも積極的に対応。電力需要者に対して、広く取り組みを周知し、安全対策への理解を深めたい考えだ。
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