日本商工会議所はこのほど、6月の商工会議所LOBO(早期景気観測)調査結果と共に、2018年度における正社員の所定内賃金の動向についてヒアリングした結果を発表した。18年度に所定内賃金の引き上げを実施した企業(予定含む)(全産業)は15・0%と、17年6月調査と比べ、6・9ポイント減少した。「未定」は18・7%と、1・8ポイント減少。一方、「賃金の引き上げを行わない」は26・3%と8・7ポイント増加した。
賃金の引き上げを実施した企業の内訳を見ると、「業績が改善しているため賃上げを実施した企業」は全体の22・3%、「業績の改善が見られないが賃上げを実施した企業」は全体の32・7%となった。 賃金を引き上げる主な理由は、「人材確保・定着やモチベーション向上のため」が91・3%と最も多かった。また、賃金の引き上げを見送る・未定の主な理由は、「今後の経営状況・経済環境が不透明なため」が59・7%と最多となった。
ヒアリングした企業からは、「好調な自動車業界の影響もあり、工作機械を取り扱う客先からの受注が急増し、業績が改善。社員のモチベーション向上のためベースアップを行った」(製造)、「人手不足により受注機会を損失し、売り上げ、採算共に悪化している。人材確保・定着のため、数年来見送っていた賃上げを行わざるを得ない」(管工事)、「業績の改善が見られず、今後の経営環境も不透明な中、非正規社員の賃金を上げているため、正社員については賃上げを行う余裕がない」(総合スーパー)といった声が寄せられた。
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