復興庁はこのほど、東日本大震災から3年が経過したにもかかわらず、被災地の生産者などがいまだに根拠のない非科学的な風評被害に悩まされていることから、取り組むべき施策を「風評の源を取り除く」「正確で分かりやすい情報提供を進め、風評を防ぐ」「風評被害を受けた産業を支援する」の3つの観点から体系的に整理し、対策を強化するための「風評対策強化指針」を決定した。同庁では、引き続き、被災地の現状とニーズの把握に努めながら、官民一体となって風評対策を強力に推進する。
復興庁では、風評被害払拭(ふっしょく)に向け、「原子力災害による風評被害を含む影響への対策パッケージ」を平成25年4月に公表。福島県産農産物などの購入意欲の増加、各国の輸入規制緩和・撤廃の拡大、東北6県における観光入込客数の回復などの一定の効果が見られている。
しかし、今年に入ってからも、いまだに放射性物質に関して科学的根拠のない表現を使用した漫画の登場や、SNSなどでも誤った情報を拡散する動きが後を絶たない。日本商工会議所でも、放射線に関する情報提供や全国の商工会議所と連携した被災地産品の販路拡大や被災地への誘客支援など風評対策を全面支援。風評被害の払拭に努めている。
今回の指針では、根拠のない風評に対しては、被災地産品の放射性物質検査の実施や、環境中の放射線量の把握と公表などによる風評の源を取り除く活動を強化。生産・加工された食品などの安全性確認のため、生産・出荷・流通などの各段階における放射性物質検査体制の支援や放射線モニタリング体制を整備し、放射線量などを確実に把握・公表していく。
また、従来の取り組みを総点検し、放射線に関する情報提供と国民とのコミュニケーションを強化。5月の安倍総理からの指示を踏まえ、消費者が知りたいと思っている情報を正確に分かりやすく提供していくよう従来の伝え方を検証し、科学的、専門的な知識を消費者目線の平易な表現で普及させることなども盛り込まれた。
さらに、風評被害を受けた産業の支援も拡充。被災地などで生産・加工された食品、伝統工芸品、工業製品などの国内外へのPR・販路拡大支援や、新たな需要創出のための農林水産物、特産品、工業製品などの開発・実証の支援などを強化する。
風評に立ち向かいながら地域産品のブランド力向上など先進的な取り組みを行う地域事業者を積極的に広報。被災地産品に対する諸外国の輸入規制緩和に向けた働きかけも継続する。
観光需要を喚起することで、訪問者の増加により、被災地のイメージ回復にも努める。特に震災前の水準に回復していない修学旅行などの国内観光客誘致、海外メディア・海外旅行者の招請による訪日旅行PRなど、国内外の誘客促進に力を入れる。
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