日本商工会議所の三村明夫会頭は昨年12月20日、政府が経済界・労働界の代表者と景気回復に向けた課題を協議する第5回「経済の好循環実現に向けた政労使会議」に出席し、日商の意見を陳述した。また、同会合において「経済の好循環に向けた政労使の取り組みについて」が取りまとめられた。
同会議には、政府から安倍晋三内閣総理大臣、菅義偉官房長官、茂木敏充経済産業大臣、田村憲久厚生労働大臣、西村康稔内閣府副大臣、愛知治郎財務副大臣が出席。経済界からは三村会頭をはじめ、日本経済団体連合会の米倉弘昌会長、全国中小企業団体中央会の鶴田欣也会長が、労働界からは、日本労働組合総連合会の古賀伸明会長らが参加した。
三村会頭は中小・小規模企業の景況感について、「日本全体として明るい兆候が見え始めている一方で、地域・業種・規模によっては、輸出比率の低さ、エネルギー価格や原材料費の上昇を販売価格に転嫁できていないなどの理由から大企業・中堅企業に比べ、景況感に差が生じている」と指摘。賃上げについては、「上げられる企業は上げてほしいが、〝まだら模様〟である中小企業の現状に対し、賃金を上げられる環境をつくりあげていくことこそが必要」と強調した。
安倍総理は、「15年以上続いてきたデフレから脱却するのは至難の業であるが、政府は3本の矢で挑戦している。今回、政労使が協力して、この状態から抜け出そうという気持ちが一つになった。これがうまくいけば、(デフレ脱却の)世界的なモデルになると思う」との考えを述べた。その上で、「政府も引き続き全力で環境整備に取り組むので、それぞれの関係者が大胆に実行に移していただきたい」と協力を呼び掛けた。
また、「経済の好循環に向けた政労使の取り組みについて」において、①賃上げ、②中小企業・小規模事業者支援、③非正規労働者のキャリアアップ・待遇改善、④生産性の向上と人材育成に関して協力して取り組むとの認識に至った。なお、②には、今年4月の消費税率引き上げ時に価格転嫁を妨げる行為を是正する施策や、中小企業投資促進税制の拡充による生産性向上を実現するための環境整備、賃上げに取り組む企業への支援強化などが盛り込まれた。
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