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経済産業省29年度概算要求 中小対策費は1351億円

国内外需要開拓に重点

経済産業省はこのほど、平成29年度予算の概算要求を取りまとめ、公表した。概算要求額は、平成28年度当初予算比9・5%増の1兆4457億円。このうち中小企業対策費は、1351億円で、28年度当初予算比で21・6%増となっている。

創業の促進・事業承継の加速化、地域中核企業のための支援ネットワーク形成、輸出力強化(海外展開支援)、ふるさと名物の応援などの予算が28年度当初予算から拡充され、全体として中小企業・小規模事業者の経営力強化と国内外の需要開拓に重点が置かれた内容となった。29年度の中小企業関係の概算要求の概要は次の通り。

1.経営力強化・生産性向上に向けた取り組み

⑴イノベーションの加速、ITの集中的な導入

○地域未来投資促進事業

・地域における「中小企業などの稼ぐ力の強化」を図るため、中小企業などの経営力向上に資する取り組みを一貫して支援。 ①ものづくり・商業・サービスの開発支援

・第4次産業革命に向けてIoTなどの活用や経営力向上に資する革新的ものづくり・商業・サービスの開発を支援。

・賃上げなどを行う事業者の補助上限額を増額など。

②ITの導入など支援

・中小企業等経営強化法に基づく事業分野別指針に盛り込まれたIT活用事例を踏まえ、業務の効率化、生産性の向上に資するITツールの導入を補助するとともに、IT専門家の派遣、取り組み事例の紹介、相談会を開催することで、IT導入を集中的に支援。

・また、業種の垣根を越えた取引のIT化を実現するため、国際標準に準拠した商取引等共通システムによる業種別・地域別のモデルプロジェクトを実施。(図) ③海外や商店街などにおける需要開拓

・需要開拓につなげていくため、先進的な観光開発やTPP(環太平洋パートナーシップ)協定も見据えた海外販路開拓、商店街・中心市街地の集客力向上などを幅広く支援。 ○戦略的基盤技術高度化・連携支援事業【140・9億円(拡充)】

・地域経済を支える中小企業におけるイノベーションの創出を図るため、中小企業・小規模事業者が産学官連携して行う研究開発や新しいサービスモデルの開発などのための事業を支援。

⑵中小企業等経営強化法の機能強化

□中小企業等経営強化法の対象業種拡大

・今年7月に施行。これまで稼ぐ力を高めるための「事業分野別指針」を11業種(製造業、卸・小売業、外食・中食、旅館業、医療、保育、介護、障害福祉、貨物自動車運送業、船舶、自動車整備)について整備。今後も拡大。

□法認定と補助金・融資制度を連携させた生産性向上支援

・中小企業による生産性向上に向けた取り組みをさらに応援するため、認定事業者に対して、補助金において優先採択を進めるほか融資制度を創設。

⑶国内外の需要獲得に向けた支援強化

○小規模事業者販路開拓支援事業(小規模事業者持続化補助金)など【55・9億円(拡充)】

・経営指導員による小規模事業者への伴走型支援を推進する。また、経営計画に基づく販路開拓・商品開発などの費用を補助する。同時に、賃上げなどを行う事業者への補助上限額の増額などを行う。

○地域・まちなか商業活性化支援事業など【25・0億円(拡充)】

・コンパクトシティー化に取り組むまち(中心市街地)および地域コミュニティーや買い物機能を維持・強化する商店街を支援する。また一定地域内で複数個店が連携して行う新たな事業を支援する。

○中小企業・小規模事業者海外展開戦略支援事業【29・8億円(拡充)】

・新規に海外展開を行う中小企業・小規模事業者を中心に、事業計画策定から進出後に至るまで、一貫して戦略的に支援する。

○ふるさと名物応援事業【25・0億円(拡充)】

・地域資源の活用や農林漁業者との連携による商品・サービスの開発や販路開拓に取り組む中小企業・小規模事業者を支援する。

2.活力ある担い手の拡大

⑴創業・再生・承継の支援体制の高度化

○創業・事業再生・事業承継促進支援事業【26・5億円(新規)】

・地域における創業の促進を図るとともに、経営者の高齢化や債務超過などの課題を抱える中小企業の世代交代・再活性化を進めるため、創業・事業再生・事業承継に係る設備投資などの補助や、支援機関に対する補助など一体的な支援を行う。

・創業者の基礎的な知識習得を支援するとともに、潜在的な創業者の掘り起こしを行う。

○再生支援協議会事業【86・8億円(拡充)】

・財務上の問題を抱えている中小企業・小規模事業者への抜本的な再生支援と、後継者問題を抱える事業者の事業引き継ぎを促進。

○中小企業・小規模事業者ワンストップ総合支援事業【55・5億円(拡充)】

・各都道府県の「よろず支援拠点」において、コーディネーターの増員による、事業再生・承継、人材育成、ITなどの経営課題への相談機能の充実を図る。

・よろず支援拠点や地域プラットフォーム(地域PF)が、個々の中小企業・小規模事業者が抱える事業再生・承継などの経営課題に応じた専門家を無料で派遣する。

□信用保証制度の見直し

・金融機関と保証協会の適切なリスクシェアを通じた中小企業の経営支援体制の確保、大規模な経済危機などに備えたセーフティネット機能の強化などに向けた制度的な見直しを行う。

⑵人材の確保に向けた取り組み

○中小企業・小規模事業者人材対策事業【20・1億円(拡充)】

・若者・女性・シニアなどの多様な人材と、中小企業・小規模事業者とのマッチングなどを支援する。

・人材確保支援のため、働く場所としての中小企業・小規模事業者の魅力を引き出すベストプラクティスを分析・収集・啓発を実施する。

□最低賃金引上げに向けた環境整備

□中小企業等経営強化法による人材育成支援・賃上げを行う企業に対する優先採択、中小企業等経営強化法による生産性向上支援を進めつつ、厚生労働省と連携を進める。

・生産性向上の普及啓発を行う事業分野別経営力向上推進機関において人材育成を行った際に、労働保険特会から支援する。

3.安定した事業環境の整備

⑴下請取引対策による取引条件改善

□下請法の運用強化など取引条件の改善

・下請中小企業・大企業の実態把握(ヒアリング)、金型保管の取引慣行などの改善に向けた法令の運用強化、取引慣行改善の普及啓発(事例集など)を行う。

○中小企業取引対策事業など【15・4億円(拡充)】

・下請事業者が多い業種について、サプライチェーン全体の取引適正化推進のため、下請ガイドラインフォローアップや浸透に向けた取り組み強化、業種特性に応じた課題解決の仕組みづくりを行う。

・下請事業者による連携を促進するなど中小企業・小規模事業者の振興を図るとともに、下請取引に関する相談の受け付けや、下請代金支払遅延等防止法の周知徹底・厳正な運用、官公需情報の提供など、取引の適正化を図る。

○消費税転嫁状況監視・検査体制強化等事業【31・3億円(継続)】

・消費税を円滑に転嫁できるよう、引き続き、転嫁対策調査官(転嫁Gメン)の配置、悉皆的な書面調査、講習会の開催などにより、積極的な情報収集・取り締まりと未然防止のための普及活動を行う。

○消費税軽減税率対応窓口相談等事業【39・0億円(新規)】

・消費税軽減税率制度の円滑な導入に向けて、中小企業団体などと連携して、講習会・フォーラムの開催、相談窓口の設置や巡回指導型専門家派遣を通じたきめ細かいサポート、パンフレットなどによる周知を行う。

⑵資金繰りの円滑化

○英国のEU離脱に伴う不安定性のリスクに備えた資金繰りの支援

・英国のEU離脱に伴う不安定性・不確実性や新興国経済の動向といったリスクに備え、日本政策金融公庫・商工中金によるセーフティネット貸付などの金利引き下げ、経営力向上のための計画認定を受けた事業者に対する、日本政策金融公庫による融資制度の創設とともに、既存の保証付き融資を借り換える際の保証を実施する。 ○きめ細やかな資金繰り支援【261・0億円(拡充)】

・政策金融・信用保証制度により、中小企業・小規模事業者への資金供給の円滑化を図る。

○小規模事業者経営改善資金融資事業(マル経融資)【46・2億円】

・日本政策金融公庫が商工会・商工会議所の経営指導などを受けた小規模事業者に、無担保・無保証の低利融資を行う。

4.災害からの復旧・復興

東日本大震災からの復興の加速化/熊本の復旧・復興

○中小企業組合等共同施設等災害復旧事業(中小企業等グループ補助金)

〈東日本大震災〉【335・0億円(拡充)】

・被災3県(岩手県、宮城県、福島県)の津波浸水地域や福島県の避難指示区域などを対象に、中小企業などのグループが作成した復興事業計画に基づく、施設の復旧・整備を支援する。

〈熊本地震〉

・被災2県(熊本県、大分県)を対象に、中小企業などグループが作成した復興事業計画に基づく、施設の復旧・整備を支援する。

○被災地向けの資金繰り支援など

〈東日本大震災〉【211・3億円(拡充)】(うち財務省計上分97・7億円)

・東日本大震災で被災した中小企業・小規模事業者に対する「東日本大震災復興特別貸付」など、低利融資を実施する。また、被災県に設置された「産業復興相談センター」において事業再生に取り組む中小企業・小規模事業者を支援する。

〈熊本地震〉

・熊本地震により被害を受けた中小企業・小規模事業者に対して、日本政策金融公庫・商工中金が「平成28年熊本地震特別貸付」、信用保証協会が、通常の限度枠とは別枠で100%保証するセーフティネット保証4号を引き続き実施する。