日本商工会議所は7月29日、7月の商工会議所LOBO(早期景気観測)調査結果を発表した。調査期間は7月14~21日。全国422商工会議所が2962企業にヒアリングした。
7月の全産業合計の業況DIは、マイナス24・5と、前月からプラス0・3ポイントのほぼ横ばい。好調な観光需要や住宅建設の持ち直し、原材料価格の下落、依然として低い水準の燃料費が中小企業の業況感を下支えしている。日商では、「英国のEU離脱決定による株価・為替の不安定な推移や消費低迷の長期化、人手不足の影響拡大を懸念する声も多く聞かれた」と指摘している。
業種別では、建設業は、都市部の再開発や住宅建設に動きが見られるものの、人手不足による受注機会の損失や人件費の上昇が引き続き足かせとなり、ほぼ横ばい。製造業は、エアコンをはじめとした家電や飲食料品などの堅調な動きにより改善したものの、実体はほぼ横ばいだった。
卸売業は、飲食料品の底堅い動きや円高による輸入品価格下落の恩恵を指摘する声が多かった。小売業は、中元商戦の本格化、夏のセールの売り上げは順調との声が聞かれた。他方、インバウンドを含め低調な高額品需要や前年のプレミアム付商品券の効果の反動減を指摘する声も寄せられた。
サービス業は、西日本を中心に荒天や猛暑による客足の減少のほか、天候不順の影響で農産物価格が上昇し、飲食業の採算が悪化した。他方、猛暑予測により夏物商品の出荷が増加した運送業、倉庫業は好調との意見があった。
先行きについては、先行き見通しDIがマイナス23・2(7月比プラス1・3ポイント)と改善を見込むものの、「悪化」から「不変」への変化が主因。企業からは、夏の観光需要の拡大、飲食料品や家電など夏物商品の販売増加、経済対策・補正予算に期待する声が聞かれた。日商では、「金融市場の不安定な動きに伴う消費の一段の悪化、人手不足による受注機会の損失や人件費の上昇、海外経済の減速など懸念材料も多く、中小企業においては、先行きへの慎重な見方が続く」と見ている。
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