日本商工会議所は3月30日、第119回通常会員総会を都内で開催。全国の商工会議所会頭・副会頭ら約800人が出席した。冒頭、開会のあいさつに立った日商の三村明夫会頭は、東日本大震災からの復興や福島再生の歩みを加速化させるとともに、持続的な成長に向けた基盤整備、中小企業の活力強化、地域活性化などの必要性を訴えた。
三村会頭は、昨年11月から、全国9ブロックの商工会議所を訪問。実際に各地の取り組みを視察し、「地域から大きな期待を寄せられている任務の大切さを改めて実感した」と語った。その上で、商工会議所が新たな視点に立って、引き続き全力で取り組むべき課題について言及。まず、復興の加速化と福島の再生を挙げ、「これまでの『復旧』を基本とした取り組みから『復興』を早期化するものに見直すべきと痛感した」との考えを語った。また、「今後も被災地の生の声を丹念に取りまとめ、強く政府に訴えていく」との意向を示すとともに、遊休機械無償マッチング支援プロジェクトや全国規模の販路開拓などに対する継続した支援への協力を呼び掛けた。
続いて、日本経済の持続的な成長の実現に向けた基盤整備が必要であるとして、「国内の資本蓄積」「労働人口」「生産性」の向上が必要と指摘した。そのためには、主要国に比べて高い法人税率の引き下げ、低廉な価格かつ安定した電力の供給、TPP(環太平洋パートナーシップ協定)をはじめとする経済連携協定の早期妥結などを実現していく必要があるとの見方を示した。また、労働人口については、「女性や高齢者のさらなる活用に加えて、実効性のある少子化対策や、IT化、教育の充実といった抜本的な生産性の向上が必要」と話した。
さらに、「中小企業の発展」と「地域の再生」が成長の原動力になると発言。これらを達成するためには、「『中小企業の成長に向けた挑戦』と『地域の付加価値創造』の実現が不可欠」との認識を述べた。
その中で、「成長の主役である『民間』の大部分を占める中小企業が成長の鍵」と指摘。「自助努力で成長することが原則であるが、自らの力で克服できない構造的な弱みに関しては必要な政策を導入することなどが必要」と強調し、「商工会議所が『現場主義』と『双方向主義』を駆使して、的を射た支援策を実現していかなければならない」との考えを示した。また、地域の再生に関しては、「難しい問題だが、これを実現せずに日本の発展はない」との認識を語った。その上で、「商工会議所が知恵を絞るとともに、さまざまな〝地域資源〟を一つのストーリーとしてまとめ、売り出すことが大切だ」と指摘した。
最後に、「平成26年度は、デフレマインドから脱却し、持続的な成長を実現していく1年にしていく必要がある」と強調。「日本が力強く飛躍できるかどうかは民間の双肩にかかっている。成長実現に向け全力を挙げたい」との意欲を示した。
総会には、来賓として加藤勝信内閣官房副長官と松島みどり経済産業副大臣が出席し、それぞれ登壇。加藤官房副長官は安倍晋三内閣総理大臣から寄せられた「強い日本を取り戻すために、復興の加速化や経済の好循環を実現する」とするメッセージを代読した。
また、東北六県商工会議所連合会の鎌田宏会長(仙台商工会議所会頭)から、東日本大震災の被災地の現状について報告が行われた。
議事では、第29期行動計画および平成26年度事業計画、同収支予算が異議なく承認されたほか、記念講演で日本銀行の黒田東彦総裁から「なぜ2%の物価上昇を目指すのか」をテーマに話を聞いた。
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