日本商工会議所は6月30日、6月の商工会議所LOBO(早期景気観測)調査結果を発表した。6月の全産業合計の業況DIは、マイナス24・8と、前月からマイナス2・0ポイントの悪化。観光産業が堅調なものの、人手不足や人件費の上昇などが影響し、業況感は一進一退の状態が続いている。調査期間は6月16~22日。全国423商工会議所が2973企業にヒアリングした。
日商では調査結果について、「人手不足や人件費の上昇が足かせとなる中、消費低迷の長期化や円高進行による受注減に加え、株価・為替の不安定な動きが中小企業のマインドを下押ししている」と分析。堅調な観光需要や、原材料価格の下落、春から値上がりしているものの依然として低い水準にある燃料費の恩恵を指摘する声は聞かれるが、中小企業の景況感は足元で弱い動きが見られている。一方、調査期間は英国のEU離脱の決定前であることに留意が必要としている。
業種別では、建設業は、住宅建設に持ち直しの動きが見られる一方、地域によりばらつく公共工事の執行や、金融市場の不安定な推移による設備投資延期の動きが伺える。製造業は、飲食料品、化粧品などで好調な企業があるものの、円高進行による受注減やコストダウン要請を指摘する声が多い。自動車関連では、熊本地震の影響で一部休止していた生産を再開するとの声がある一方、燃費不正問題により生産減少という声も聞かれた。
卸売業は、国内消費が低迷する中、天候不順などにより出荷量減少・価格上昇した農産物の販売価格転嫁が難航との意見が寄せられた。小売業は、円高株安の動きに伴いインバウンドを含め高額品需要が鈍っているほか、衣料品では夏のセール待ちをする消費者の増加が見られた。
サービス業は、慢性的な人手不足に伴う受注機会の損失や人件費の上昇が足かせとなるものの、観光需要のけん引が続くほか、飲料品など夏物商品の出荷が増えた運送業の受注増の動きがあった。
先行きについては、先行き見通しDIがマイナス24・6(6月比プラス0・2ポイント)とほぼ横ばいを見込んでおり、夏の観光需要の拡大や、猛暑予測から飲料品や家電製品など夏物商品の販売増加、消費増税の再延期による消費者マインド改善を期待する声が聞かれる。日商では、「金融市場の不安定な推移などによる、インバウンドを含む消費の一段の悪化や設備投資の減少に対する懸念のほか、人手不足の影響拡大など、景気の不透明感が増す中、中小企業においては、先行きへの慎重な見方が続いている」と指摘する。
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