日本商工会議所は3月31日、3月の商工会議所LOBO(早期景気観測)調査結果を発表した。3月の全産業合計の業況DIは、マイナス23・6と、前月からマイナス0・8ポイントのほぼ横ばい。観光産業が好調を維持するものの、人手不足や人件費の上昇などが影響し、業況感は足踏み状態が続いている。調査期間は3月15~22日。全国422商工会議所が2969企業にヒアリングした。
日商では調査結果について、「原材料価格や燃料費などの下落の恩恵が続く中、好調な観光需要による下支えのほか、設備投資にも持ち直しの動きがみられる」と分析。他方、人件費上昇や受注機会の損失など人手不足の影響拡大、消費低迷の長期化に加え、新興国経済の減速、不安定な金融市場など、取り巻く環境の厳しさがマインドを鈍らせており、中小企業の業況感は足踏み状況となっている。
業種別に見ると、建設業からは、「技術職不足が深刻化する中、人件費の上昇に歯止めがかからず、採算は悪化傾向にある」(一般工事)、製造業からは、「部品などの仕入先から値上げを求められている一方、納入先からの値下げ要求もあって、経営は厳しい状況」(電気計測器など製造)との声が聞かれた。
卸売業からは「景気動向に不安感はあるものの、海外向けを含め、受注が好調に推移している」(家庭用刃物など卸売)、小売業からは、「中国をはじめインバウンド需要が堅調」(化粧品販売店)との声が寄せられた。サービス業からは、「受注は例年並みを確保できているが、エンジニア不足を補うため外注せざるをえず、利幅は小さい」(ソフトウエア)との懸念が寄せられた。
先行きについては、先行き見通しDIがマイナス22・1(3月比プラス1・5ポイント)と改善を見込むものの、「悪化」から「不変」への変化が主因であり、実体はほぼ横ばい。日商では、「春の観光シーズンに向けた需要拡大や設備投資の持ち直し、補正予算・来年度予算の早期執行などへの期待感が伺える」と見ている。他方、新興国経済の減速やマイナス金利政策を含めた金融市場の不透明感もあり、先行きが見通ししづらい中、中小企業においては、消費低迷の長期化や人手不足の影響拡大、春闘の結果を受けた人件費の動向と価格転嫁の遅れに対する懸念などから、慎重な見方が続いている。
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