当地の表記には多くのものがある。まずは「廣島」。これは旧漢字表記で、江戸時代の安芸国(あきのくに)「廣島藩」に始まり、その後「廣島縣」となり、1894年には「廣島大本営」が置かれた。
1945年8月6日に原爆投下を受けて、聖地としての平和都市「ヒロシマ」という表記がなされた。有名なものに「ノーモアヒロシマ」がある。日本の都市の中で市名がカタカナ表記されるのは、ヒロシマ以外にあまりないと思う。
「廣島」は戦後の自動車産業を中心としたものづくり都市として、成長・発展を遂げた「広島」へと変化した。また、広島といえばプロスポーツである。カープ女子で新たなファン層を広げたわれらが「広島東洋カープ」。今年はコロナ禍で開幕が6月に順延となった。多くの県民はこの春、カープの勝敗に一喜一憂することもなく、コロナによる自粛と併せ、気持ちが沈んだ日々を過ごした。一方の「サンフレッチェ広島」は、現在そのホームとなるサッカー球場の建設が、全国の他の主要都市でも例のない「街なかスタジアム」として、2024年の完成を目指している。
私が勤めている広島銀行は本年10月1日に金融持株会社へ移行する。1961年に株式会社廣島銀行で上場、88年の創業110周年を機にCI活動の一環で株式会社広島銀行に行名を変更し、そして本年、従来の金融業務を中心とした事業に限らず、幅広く地域の総合サービスグループに変化していこうと株式会社ひろぎんホールディングスに変更、より一層の地域貢献を目指していく。来春にはグループの新たな拠点として56年ぶりに本店を建て替えオープンする。
また、当地には日本にある世界文化遺産19のうち「原爆ドーム」と「厳島神社」の二つがある。現在、コロナ禍でインバウンド観光客は99・9%減少したが、その多くが来訪する「Hiroshima Miyajima」もある。特に2016年5月、米国の現職大統領としては初となるバラク・オバマ大統領の被爆地訪問により、世界に向けて「Hiroshima」が発信された。
文化面では「ひろしま」がある。私が理事長兼館長を務めている「公益財団法人ひろしま美術館」(当行の創業100周年記念事業として1978年に創設)である。手前味噌ではあるが、印象派の美術館としては、日本有数と言われ、昨年のトリップアドバイザーによる日本で行くべき美術館では、第4位に選出された。是非とも足をお運びいただきたい。
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