日本商工会議所は2月18日、政府の「観光ビジョン構想会議」が3月末にも策定する「新観光ビジョン」に向け、インバウンドと国内旅行を車の両輪に「国民観光運動」を展開することなどを盛り込んだ「今後の観光振興策に関する意見~『新たな観光ビジョン』策定への期待~」を取りまとめた。須田寬日商観光委員会共同委員長は同日、杉田和博内閣官房副長官と田村明比古観光庁長官を訪問。直接意見書を手交し、意見書の内容の実現を強く求めた。
意見書では、インバウンド政策について、特定都市・地域に集中する外国人旅行者を全国各地に分散・拡大させることが重要と指摘。日商が昨年5月に提言した「交流拠点都市」(地域への旅行者の分散の核となる都市)を、政府が進める広域観光周遊ルートや観光立国ショーケースで選定した都市の中から指定すべきとしている。また、東アジアのみならず、欧米など多様な国からの誘客を進め、安定的な訪日外国人旅行者数と旅行消費額の確保を求めている。
国内観光については、旅行者ニーズに対応した観光産業の経営革新(泊食分離、電子決済、IoTへの対応など)を強調。官民連携による休暇取得キャンペーンなど、観光需要の平準化に向けた取り組みの強化、国による観光関連基礎データの一元的な整備と提供も要望している。
杉田内閣官房副長官は、「訪日ビザ発給要件の緩和や歴史的建造物の利活用など、政府が取り組めることは積極的に行っていきたい」と表明。田村長官は、「商工会議所の考えは、基本的に観光庁で考えている問題認識と同じである」と、観光地域づくりにおける商工会議所の役割に期待を寄せた。
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