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コラム石垣 2017年2月11日号 中村恒夫

単身赴任で2年弱過ごした神戸。昨年の暮れ、予約が取りにくいことで有名なレストランでランチを楽しむ機会があった。インターネットで検索するとスペイン料理に分類される店だが、運ばれてくる料理はその範ちゅうに到底入り切れない、独創性にあふれたものばかりだった。スタッフは「スペインとかイタリアンとかいうよりシェフだけの料理なんです」と説明していた。

▼三宮地下の焼き鳥店にも数年ぶりに顔を出してみた。休日の昼間にもかかわらず、10席に満たないカウンターは予約客で占められていた。他の店で見たこともない丁寧な焼き方は常連ファンの心をつかんで離さないのだ。

▼どちらの店も、上質な食材を使っているとはいえ、特殊な物を調達しているわけではない。顧客重視を貫いた結果、そこ以外の店では口にできない料理を提供する「オンリーワン」の存在になったと言えるだろう。

▼トランプ米大統領は、就任すると直ちに環太平洋経済連携協定(TPP)からの離脱や北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉開始を表明した。「米国に雇用を」と叫ぶトランプ氏の呼び掛けに応じるように、米大手企業が生産拠点の本国回帰を加速させているように見える。その背景には、法人税率の引き下げなどによる恩恵も受けるはずだというしたたかな計算も見え隠れする。新大統領も国内に代替製品・商品があるものならともかく、輸入に頼らざるを得ない場合には声を上げようがない。

▼企業経営者が米国トップの一挙手一投足に関心を寄せるのは当然のことだ。ただし振り回されてはいけない。経営の基本は顧客重視。製品でもサービスでもオンリーワン企業を目指すべきだと、今こそ再確認してほしい。

(時事通信社取締役・中村恒夫)

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