日本商工会議所の三村明夫会頭は11日、定例の記者会見で最近の円安の状況について、「今回の円安の要因は、米国の景気が非常に力強く、金融政策の出口戦略を考え始めたことがある」と分析。「日本経済が順調な回復を示せば、若干、円高に向かうのではないか」との見方を示した。
円安の影響については、資材価格や輸入原材料価格、電気料金の上昇などの例を示し、「円安のメリットよりコストアップのデメリットのほうが強くなる」と指摘。1ドル107円台という水準については「少し行き過ぎだ。中小企業を代表する立場としては、円安であればあるほど好ましいということではない。日本経済全体として適切な為替水準はどこかということを、もう一度しっかり踏まえるべき」と述べた。
消費税率の再引き上げ問題については、「岡村会頭時代に100度にわたる議論を全国各地で行い、10%までの税率引き上げは持続可能な社会保障制度確立のためにやむを得ないという見解をまとめた。その見解は今も変わっていない」と発言。「消費税の問題は、10%への引き上げを実行した場合の問題と同時に、延期した場合の問題もある。再引き上げを可能とする条件整備を政府が真剣に取り組むべき」との考えを示し、「ボールは政府が握っている」と強調した。さらに、再引き上げの条件として、円滑な価格転嫁とともに、「税収減」「実務的な負担増」「線引きが難しい」という3つの理由から導入に反対している軽減税率の問題を指摘。政府の対応を強く求めた。
また、法人税減税の代替財源として検討されている外形標準課税については、「単年度の財源確保を前提条件として考えることはおかしい」と指摘。また、中小企業にとって「賃金課税と同じ」と述べ、導入に断固反対する姿勢を示した。
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