スポーツを通じて健康づくりを推進し、ツーリズム、産業振興、まちづくりに貢献した団体、企業などを顕彰する「第8回スポーツ振興賞」(日本スポーツツーリズム推進機構・スポーツ健康産業団体連合会主催)において11月4日、応募総数32件の中から神戸商工会議所(兵庫県)および下松商工会議所(山口県)の事業がそれぞれ日本商工会議所奨励賞、観光庁長官賞を受賞した。表彰式は12月2日、東京ビッグサイトで関係者のみで行われた。
神戸
初のバーチャルレース 温泉地ににぎわい創出
神戸商工会議所や有馬商店会などでつくる実行委員会が主催した「有馬―六甲バーチャルライドレース」(7月26日開催)は「スポーツ振興賞日本商工会議所奨励賞」を受賞した。
同事業は屋内サイクリングアプリ「Rouvy(ルービー)」を活用したバーチャルサイクリングイベント。有馬温泉から六甲山頂の実際のコースをAR化(拡張現実処理)し、アプリと連動したロードバイクをこぐことで、アプリ内のアバターがコースを走る仕組みだ。六甲山へ坂道を自転車で上るヒルクライムの人気に着目し、有馬温泉のにぎわいへつなげようと初めて企画した。
当日は、会場に招待したeスポーツ選手によるエキシビジョンレースとプロのサイクリストを交え国内外から約100人が参加したヒルクライムレースを実施。その様子をYouTubeで配信した。同事業は、「eスポーツとフィジカルスポーツを融合したユニークな取り組み」として、産業観光を含めたビジネス創出の可能性が感じられることが評価された。
下松
トレイルラン大会好評 着地型観光へつなげる
下松商工会議所が事務局を務める実行委員会が主催する「くだまつ笠戸島アイランドトレイル」は、「スポーツ振興賞観光庁長官賞」を受賞した。
同事業は瀬戸内海国立公園笠戸島のハイキングコースを走るトレイルランレースで、32キロメートルと19キロメートルの2コースを設定。下松の魅力発信と交流人口拡大を目的に2016年から5年にわたり開催している。全国から訪れるランナー約900人に対し400人のボランティアを動員するなど地域一体となったもてなしも好評で、年間通して笠戸島を訪れるランナーが増加。今後もアウトドアスポーツツーリズムとして着地型観光につなげることを目指す。
韓国旅行誌へプロモーションを行うなど情報発信にも注力。国立公園という自然資源を活用したトレイルランの設定が魅力的であり、国内外へ発信して地域一体となったスポーツツーリズムを推進していることが評価された。
2020年大会はコロナ禍のために中止としたが、21年大会は規模を縮小して開催する。
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