日本商工会議所はこのほど、2020年11月の商工会議所LOBO(早期景気観測)調査と共に実施した、新型コロナウイルスによる経営への影響および行政のデジタル化の推進により改善を期待する点、コスト増加分の価格転嫁の動向について発表した。
新型コロナウイルスによる経営への影響については、「影響が続いている」は10月調査から1・1ポイント減少したが、6割超と依然として高水準の状況が続く。「経済活動の停滞が長期化すると影響が出る懸念がある」と合わせて90・3%という結果になった。
行政のデジタル化の推進により改善を期待する点に関しては、「申請書類・添付書類の削減」が61・0%と最も多かった。次いで「時間短縮」が48・9%、「オンライン活用に必要な端末や回線などのハード面の環境整備支援」が42・4%、「窓口が原則となっている手続きの見直し」が41・8%となった。申請書類などの削減により、申請作業の手間の軽減を期待する声が多く寄せられた。加えて、手続きをオンラインで完結させるため、端末などのハード面の環境整備支援や窓口手続きのオンライン化を期待する声も聞かれた。
コスト増加分の価格転嫁の動向については、消費者向け商品・サービス(BtoC)では「全く転嫁できていない」企業は14・8%、「一部転嫁できていない」企業は51・8%となり、価格転嫁できていない企業は合計66・6%と、2019年11月調査から5・9ポイント減少した。企業向け商品・サービス(BtoB)では「全く転嫁できていない」企業は18・2%、「一部転嫁できていない」企業は56・7%となり、価格転嫁できていない企業は合計74・9%と、19年11月調査から1・8ポイント増加した。
19年11月調査と比べると、BtoCは若干改善したものの、BtoBは悪化し、7割強の企業が依然として価格転嫁できていない。価格転嫁できない理由では、需要の減少や、BtoBでは取引先からの値下げ要求が強まっていることを挙げる企業が増加した。
調査期間は2020年11月12~18日。全国335商工会議所の会員企業2089社から回答を得た。
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