日本商工会議所は5月25日、東京商工会議所とともに「コロナ禍における雇用・労働対策に関する緊急要望~『雇用の維持』に向けた一層の支援と、ポストコロナを見据えた対策の強化を~」を取りまとめ、公表した。要望書では、「雇用調整助成金の特例措置の延長」「雇用調整助成金の一般会計による財源負担の実施」「『失業なき労働移動』の促進に資する施策の強化・拡充」「テレワークの普及・定着に向けた支援策の強化・拡充」の4点を強調。今後、政府・与党など関係各方面に働き掛け、要望項目の実現を図る。
コロナ禍の収束が見通せない中で、多くの中小企業は雇用調整助成金などの各種支援策を活用しながら、「事業の存続」と「雇用の維持」にギリギリの努力を続けているが、厚生労働省は、7月以降については雇用情勢が大きく悪化しない限り、雇調金の特例措置を縮減する方針を変えていない。日商・東商では、厳しい経営環境に置かれている全国の中小企業、とりわけ影響が深刻な宿泊・飲食業などの企業から、雇調金の特例措置の延長を希望する声が多く寄せられていることから、緊急要望の取りまとめを決定した。
具体的には、「地域特例」、「業況特例」を含む特例措置は当面、現行水準を維持した上での延長を要望。また、「業況特例」における生産指標要件についても、状況に応じて柔軟に対応することを求めている。
雇調金の財源については、コロナ禍の長期化に伴う一連の措置により、事業主のみが負担する共同連帯の制度である雇用保険二事業の範疇(はんちゅう)を大きく超えている」ことから「財源は全て一般会計による国費で負担」することを主張。現在、失業等給付2・5%、育児休業給付1・25%となっている国庫負担を本則(失業等給付は25%、育児休業給付は12・5%)に戻し、雇用保険財政の安定化を確保すべきとしている。
また、雇用吸収力がある産業や成長分野への「失業なき労働移動」、地方を含めた中小企業においてテレワークなどの柔軟な働き方を一層推進するなど、ポストコロナを見据えた雇用対策の強化も同時に要望している。
「コロナ禍における雇用・労働対策に関する緊急要望」
~「雇用の維持」に向けた一層の支援と、ポストコロナを見据えた対策の強化を~
(日本・東京商工会議所、2021年5月25日)
(主な要望事項)
1.雇用調整助成金の特例措置の延長
2.雇用調整助成金の一般会計による財源負担の実施
3.「失業なき労働移動」の促進に資する施策の強化・拡充
4.テレワークの普及・定着に向けた支援策の強化・拡充
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