日本商工会議所の三村明夫会頭は9月29日、定例の記者会見で、米国・EUの日本産食品の輸入規制の撤廃について、「このような動きが全世界に広がることを期待している」と高く評価した。中国と台湾のTPPへの加盟申請については、「日本がやるべきことは、自由貿易協定のレベルを絶対に落とさないことだ」と主張。「米国のTPP復帰についても働き掛けるべき」との考えを示した。
三村会頭は、「福島第一原発の事故直後に55の国・地域が輸入を規制したが、今回の米国の規制撤廃で、現在も輸入規制が残っているのは14カ国・地域に減少した」と指摘。「米国の規制撤廃を高く評価する。ヨーロッパでも10月10日以降、日本産食品の輸入規制が緩和される。このような動きが全世界に広がることを期待している」と述べた。
また、「規制緩和への流れをつくる手段としてTPPに期待する」との考えを表明。「不当な輸入制限があってはTPPに加盟できない。台湾については米国と同様の交渉ができるのではないか」との見通しを示した。
中国に関しては、自身の訪中時に、李克強首相に輸入規制緩和を要請したことに触れ、「首脳クラスで話し合うような外交の場がなければ、短期間での規制撤廃は難しい」と指摘。「粘り強く、科学的根拠に基づいて安全性に問題ないことを説明しつつ、政治的な決着に持ち込むという方法しかないと思う」と述べた。
TPPについては、「TPPは日本がリーダーシップを発揮して取りまとめた自由貿易協定であり、幅広い分野で21世紀型のルールの構築を目指した包括的で質の高い協定になっている」と強調。「新規加入には基本的に参加国全ての同意が必要だ」と指摘するとともに、「日本がやるべきことは、この自由貿易協定のレベルを絶対に落とさないことだ。今の高いレベルを守れるという強い確信を持てた国についてのみ、加盟を認めるという態度でいくべき」との考えを示した。
米国のTPP復帰についても、「働き掛けるべきだと思う」と主張。「米国がTPPに加盟すれば世界全体にも大きなメリットをもたらす。中国、台湾のTPP加盟申請の対応と、米国の加盟復帰も同時並行で進めるべきだ」と述べた。
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