日本商工会議所の三村明夫会頭は2月17日、定例の記者会見で、「パートナーシップ構築宣言」について「宣言数(登録企業数)は6068社となった。ここまで増加したことを非常に喜ばしく思う」と述べた。また、中小企業庁が公表した「取引適正化に向けた5つの取り組み」を高く評価。「今は、BtoBの価格について適正化を図っているが、最終的には消費者物価にも転嫁できなければ完結しない」と述べ、取引価格適正化の取り組みが定着することへの期待を表明した。
三村会頭は、宣言数の増加について、当初の目標数が2000社だったことに触れ、「この運動が全国津々浦々に広がり、中小企業の宣言数が増えること自体は非常に意味があるが、一方で、現時点では大企業の宣言数が少ないことが課題だ」と指摘。2月10日に開催された「未来を拓くパートナーシップ構築推進会議」において萩生田大臣が「宣言数を増やし、かつ、質を高めたい」と発言し、経団連も繰り返し大企業に参画を呼び掛けていることから、「今後、大きな影響力を持つ大企業の宣言数も増えてほしい」と述べ、期待感を示した。
中企庁が公表した「取引適正化に向けた5つの取り組み」については、「パートナーシップ構築宣言運動の中身を充実させるような政府の支援策が具体的に示された」と高く評価。価格交渉促進月間を9月に加え、3月にも実施する点、下請Gメンの体制強化が盛り込まれたことについては、「実効性をさらに高めてほしい。あまりにもひどい事例は公にして是正してほしい」と述べた。
また、知財取引の適正化とその実効性を担保するために専門チームを創設することが盛り込まれた点について、「中小企業やスタートアップ企業の中には、大企業と協業しオープンイノベーションの創出を図りたいところは多いものの、重要な知的財産が大企業に吸い上げられてしまうのではないかと警戒感がある」と指摘。「知財取引の適正化につながる対応を期待したい」と述べた。
約束手形の2026年までの利用廃止への道筋が示されたことについても評価。いずれの取り組みも精神論ではなく、「宣言に『心』を入れる」こと、具体的に行動・検証することの重要性を指摘し、「コーポレートガバナンス・コード」については、「パートナーシップ構築宣言の意味合いを明記してもらいたい」との考えを改めて示した。
原材料の高騰などにより、多くの品目で値上げの動きが広がる中で、BtoBやBtoCへの影響については、「『パートナーシップ構築宣言』の趣旨を踏まえれば、一般論として、理由のある値上げの申し出に対し、取引を打ち切るような措置や、より安い製品を提供する他社に取引を移したりするようなスタンスはぜひともやめていただきたい」と強調。「われわれは民間企業同士の取引に直接介入をすることはできない」とした上で、極端に不適切なケースについて調査対象とする政府の方針に期待を表明した。
取引価格の交渉については、「パートナーシップ構築宣言運動の推進もあって、『取引先が交渉に応じてくれるようになった』という話を聞くようになった。今がまさに分岐点だ」と指摘。「今は、BtoB価格について適正化を図っているが、最終的にBtoC価格、つまり消費者物価にも転嫁できなければ完結しない」と述べ、取引適正化によって消費者物価もある程度上がっていくことへの期待を表明した。
最新号を紙面で読める!