日本商工会議所は7月20日、3年ぶりとなる夏季政策懇談会をハイブリッド形式で開催し、三村明夫会頭はじめ、副会頭、特別顧問、常議員・議員、各委員会委員長、専門委員長など74人が出席したほか、全国の商工会議所からオブザーバーとして224人が参加した。懇談会では、第Ⅰ部の全体会議、第Ⅱ部の分科会における議論を踏まえ、「成長と分配の好循環の実現」「中小企業の自己変革への挑戦支援」「官民協働による魅力ある地方創生の推進」などを柱とする「夏季政策アピール」を策定。今後、政府・与党などに提出し、アピールの内容の実現を目指す。
コロナ禍で3年ぶりの開催となった夏季政策懇談会では、「強く豊かな日本を創るために商工会議所が果たすべき役割」を全体テーマに、直面する重要政策課題に関する商工会議所の基本的な考え方やスタンス、具体的な活動などについて集中的に討議。第Ⅰ部の全体会議では、中小企業が置かれた足元の状況を踏まえつつ、コロナ禍や物価高騰などの急激な環境変化への対応や、デフレから成長マインドへの転換に必要な環境整備、中小企業の自己変革への挑戦を後押しする有効な対策、官民協働による魅力ある地方創生に必要な対策などについて議論した。
第Ⅱ部では、「『地域とともに、未来を創る』商工会議所活動と課題、機能強化策」をテーマに、分科会形式で3グループに分かれて開催。地域の稼ぐ力の向上や、広域観光連携、観光DXに加え、海外展開や中小企業のデジタル化支援、副業人材の活用を通じた機能強化などの事例発表が行われた。
懇談会では議論の総括として、全体会議、分科会における意見や要望を盛り込んだ「夏季政策アピール」を採択した。アピール項目は、「成長と分配の好循環の実現」「中小企業の自己変革への挑戦支援」「官民協働による魅力ある地方創生の推進」の三本柱で構成。「成長と分配の好循環の実現」に向けては、具体的な出口戦略の提示とコロナマインドの払拭(ふっしょく)、重点投資分野への十分な規模の政府支出と大胆な規制緩和、社会保障制度改革、中小企業が持続的に賃上げできる環境整備、取引適正化やパートナーシップ構築宣言の推進なども盛り込んだ。
「中小企業の自己変革への挑戦支援」では、商工会議所として、中小企業のデジタル化による生産性向上や事業再構築などへの挑戦を伴走型で後押しするとともに、越境ECを活用した輸出拡大推進などに取り組む決意を表明。また、エネルギーの安定供給と価格抑制に資する原発の早期再稼働など、政府が前面に出て原子力政策を推進することなどを求めている。
「官民協働による魅力ある地方創生の推進」では、商工会議所が公民連携の中核として地域経済の好循環を生み出すローカルファーストなまちづくりや農林水産業の再活性化などに貢献していく考えを表明。政府に対しては、国土強靭(きょうじん)化や震災復興を重点投資分野としたインフラ整備の推進、観光関連事業者の支援強化などを訴えている。
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