日本・東京商工会議所は8日、「消費税インボイス制度」と「バックオフィス業務のデジタル化」などに関する実態調査の結果を取りまとめた。調査は、2023年10月に導入予定の消費税インボイス制度への中小企業における対応状況などをまとめたもの。調査結果では、規模の小さい企業ほど制度導入に向けた対応が進んでおらず、バックオフィス業務の多くをアナログで対応している実態が明らかになっている。
インボイス制度導入に向けた準備状況については、特段の準備をしていない事業者は全体で42・2%と昨年の59・9%からは減少しているものの、「売上高1千万円以下の事業者」では60・5%(昨年は73・0%)に上り、規模の小さな事業者ほど準備が進んでいない状況が浮き彫りになった。
インボイス制度導入に向けた課題については、「制度が複雑でよく分からない」が47・2%で最多。「発行する請求書などの様式変更」(35・5%)、「仕入先がインボイス発行事業者か確認」(26・0%)、「受け取った請求書などのインボイス要件確認」(17・9%)の順で多くなっている。
すでに発行事業者登録申請を行った事業者は10・5%。そのうち「売上高1千万円以下」は1・6%と小規模な事業者ほど未申請が多い結果となっている。
バックオフィス業務状況のうち、経理事務の外部依頼状況については、「売上高1千万円以下の事業者」の30・7%が、税理士など外部専門家の関与なく全て社内で対応と回答。また、93・3%が経理事務従事者1人しかおらず、そのうち、68・5%は、代表者・役員が経理事務を兼務して行っている結果となった。
帳簿作成業務については、「売上高1千万円以下の事業者」では46・2%がいまだに手書きで作成しており、昨年(50・4%)と比べ、デジタル化がほとんど進んでいない状況。受発注業務については、中小企業の多くが電話、FAX、実訪などで行っており、特に「売上高1千万円以下の事業者」では受注84・7%、発注78・7%がアナログ対応で、昨年(受注86・3%、発注80・4%)と比べてもデジタル化は進んでいない。
「売上高1千万円以下の事業者」の手書きによる書類作成は、売上・仕入の集計業務では55・5%(昨年56・4%)、請求書などの作成業務でも63・8%(昨年66・2%)と高水準。いずれも昨年調査と比較して大きな改善は見られない。
電子申告(e-tax)については、「売上高1千万円以下の事業者」の31・6%が対応していない状況。対応していない理由については、「メリットが感じられない」(56・8%)、「社内の体制が不十分」(21・4%)の順で多くなっている。
改正電子帳簿保存法による電子取引のデータ保存義務化への対応については、小規模な事業者ほど「内容をよく理解しておらず、何もしていない」割合が高く、「売上高1千万円以下の事業者」では56・8%。また、本来の目的である「経理業務のペーパーレス化」に逆行し、「全て紙の原本の授受に切り替える」と回答した事業者も4・0%存在した。
調査対象は、全国各地の商工会議所の会員企業で、回答事業者数は3771件(回収率87・8%)。調査期間は、2022年5月23日~6月23日で、調査方法は、商工会議所の経営指導員などによるヒアリングで調査している。
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