第1回のコラム(押さえておきたい容リ法㊤「ごみ減量・資源化に成果」)で、容器包装リサイクル制度の最大の特徴はEPR(拡大生産者責任)の導入であると解説しました(下記URL①参照)。つまり、容器包装を利用・製造している事業者(特定事業者)は、市区町村と共に家庭から排出される容器包装ごみを資源として再商品化(リサイクル)する義務を負うことになりました。
再商品化義務の履行方法として、「指定法人(日本容器包装リサイクル協会)への委託」を選んだ特定事業者は、利用、製造、輸入した容器包装の重量を基に、再商品化義務の対象量と委託料の金額を自身で計算します。委託料金を指定法人に支払うことで再商品化義務を果たすことになりますが、支払いを行っていない事業者も存在し、これら事業者は義務不履行事業者となり「ただ乗り事業者」と呼ばれています。今回はこの問題について説明します。
ただ乗り事業者の対策が課題に
容リ制度は、前述の通り自主申告により委託料を納める仕組みです。コンプライアンスや資源循環に対して意識の高い事業者は適切に手続きをしていますが、まだまだ周知が及んでいないのが現実です。再商品化義務を負うことを知りながら義務を果たさない悪質なただ乗り事業者もありますが、自社に義務があることを認識していない事業者も一部に存在します。実際にコールセンターには、「当社事業は対象になるのか?」という問い合わせもあります。
2021(令和3)年度、再商品化義務を果たした事業者の数は8万253社でした。この数字にはコンビニエンスストアなどのフランチャイズの場合、フランチャイザー(本部)がフランチャイジー(加盟店)分を一括で手続きしているものを含みますが、これらの加盟店数を除いた数字は下表の通りです。
容器包装リサイクル法(容リ法)違反であるただ乗り事業者を放置すると、再商品化義務を適正に果たしている事業者が過剰な費用負担を負うことにもなりかねません。また、容リ制度の持続性を損なう恐れもあり、法令順守の面からも問題です。
ただ乗り事業者への対応は、管轄省庁である財務省、国税庁、厚生労働省、農林水産省、経済産業省が担います。指導、助言、勧告、公表、命令することができ、これまで91件の社名公表と36件の命令措置が取られています。当協会は容リ制度の運営を担う組織として、主務省庁の担当者との連携を密に行い、積極的な情報提供に取り組んでいます。
説明会など開催し容リ法の周知図る
協会のできる対策として、申し込みや支払い依頼文書の発送、制度周知のため各種業界団体への働きかけや個別訪問の実施、さらには講演会や説明会を行うなど、容リ法をご存じない方に向けた周知にも力を入れています。
本年は、11月から各地大都市8カ所で特定事業者向けの制度説明会・個別相談会を開催いたします(下記URL②参照)。一部の会場では制度説明会は実施せず、個別相談会だけになりますのでご注意ください。また、容リ協会ホームページにて容リ制度の解説サイトへのアクセスやオンラインによる事務手続きができますので、ぜひご覧ください。
(公益財団法人日本容器包装リサイクル協会・駒ヶ嶺充)
① 「押さえておきたい容リ法㊤」はこちら ▶ https://ab.jcci.or.jp/article/71248/
② 特定事業者向け説明会についてはこちら ▶ https://www.jcpra.or.jp/specified/tabid/1027/index.php#Tab1027
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