吹田市は大阪市に隣接し、多くの鉄道駅がある交通アクセスの良さに加え、万博記念公園など緑豊かで住環境も良い。エリアごとに異なる魅力のある同市において、商工業の発展につながるよう、官民や産学連携などさまざまな事業に取り組み、より良いまちづくりを推し進める吹田YEGの活動を紹介する。
経営課題解決へ 1日スクールを開校
1月、吹田YEGは市内の大和大学との連携事業「中小企業のためのステップアップSchool」を開催した。テーマとした「人材育成」「マーケティング」「事業承継」「広報」などは、いずれも経営者にとって避けては通れない課題。地域の経営者だけでなく、これから起業を考えている市民や大学生など250人が参加した同事業について、2022年度吹田YEG会長の佐賀健太郎さんに話を伺った。
スクール講師はYEGメンバー
「テーマ別に行われたそれぞれの授業の講師はYEGメンバーが務めたんですよ。ユーモアを交えたその講師ぶりに、教室は明るい雰囲気でディスカッションも大盛況でした」と、にこやかに話してくれた佐賀さん。地域の経営者が講師を務めたことにより、参加者からは「身近な方が講師で、すぐに実践できそう」「地元でのリアルな経営の話が分かりやすく、役に立った」との声が聞かれ、より深い学びにつながったそうだ。
とりわけ「広報」の講義は、「認知度を上げるためのプロモーション戦略や、昨今注目されるSNSを中心に構成しました。参加者は自社のホームページやInstagram、Twitterなどをリアルタイムで見つめ直す絶好の機会となったのでは」と、ブランディング業を手掛ける佐賀さんの声にも力がこもる。
若者の未来に刺激を
1日を通したスクールには、主な対象の中小企業経営者に加え、学生も気軽に参加できる企画を盛り込んだ。
「スクール会場となった大学からは、未来を担う若者に刺激を与えてほしいと言われていたので、学生のキャリアデザインに役立てようと、成功者たちの「成功の原則」をまとめたスティーブン・R.コヴィーの名著『7つの習慣』をボードゲームで体感できるアクティビティ体験や、起業・経営の相談ブースに加え、学生のSDGsに対する取り組みや活動も紹介しました。また、ブース出展してくれた大和大学社会学部SDG研究推進室によるラーメンプロジェクトは、フードロス削減のため、規格外で市場に出回らない食材を活用してラーメンをつくるという学生ならではのアイディアや工夫が施されていて、大学ベンチャーまで立ち上げたその取り組みは、近年ブランディングに力を入れている私たちにも大きな学びとなりました」
吹田YEGの一つの仕掛け ブランディングにより次代へ加速
吹田YEGは、官民や産学連携のほかにも、対外的にアピールするために、YEGブランド向上と定着を目指すためのアウターブランディングとインナーブランディングに積極的に取り組んでいる。
アウターブランディングでは、YEGのイメージを地域外に向けて発信するため、主にウェブサイトの見直し、改善を図っている。インナーブランディングでは、一人一人の内面に深く浸透するためのツールとして、インパクトあふれる名刺に着目した。
「一度もらったら、決して忘れない。そんなコンセプトの下、より強い組織力としてのアイデンティティーを構築し、意識向上につながるデザイン性の高い名刺を毎年作製しています。独自の価値観や、斬新なアイデアやユニークな要素を盛り込んだブランディングは、強い印象を与えることができ、YEGの成長と認知度向上につながると考えました。
身近なビジネスツールを作製する過程を通じて、仲間同士でYEGの理念や活動の本質と向き合うという経験が、自企業のブランディングに生かされると信じています」
佐賀さんの言葉には、自ら動き出し外へとつながっていこうという姿勢が、その先に続く吹田YEGの、そしてまちの発展につながるという確かな思いが込められていた。
今後も次代に向け、地域活性を加速させる吹田YEGの活動から目が離せない。
【吹田商工会議所青年部】
会長 : 田中 康介
設立 : 1989年
会員数 : 142人
2023年度日本YEG公式サイト
2023年度の日本YEGでは、公式サイトをリニューアルいたしました。
地域の未来を担うYEGのさまざまなチャレンジや活動を発信いたします。ぜひご覧ください。
HPはこちら ▶ https://yeg.jp/
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