宿毛市は、1954年3月に6町村が合併し、人口3万2500人で誕生しました。現在の人口は約2万人弱となり、高齢化率も30%を超える大変厳しい状況にありますが、ブリやマダイの養殖業をはじめ、文旦・小夏・直七などの柑橘(かんきつ)類の出荷増により、地域産業を支えています。また、高規格道路を活用した自転車ロードレース大会が昨年から開催されており、県内外から多くの自転車愛好者にお越しいただきました。現宿毛市長が「自転車を活用した魅力あるまちづくり」を提唱されており、商工会議所では、会場に来られない方々もリアルタイムで観戦していただくため、屋外大型ビジョンの設置と、デジタルサイネージを活用して、会員のPRをはじめ企業イメージアップ戦略を検討しています。持続可能な経営者支援団体として、今後とも積極的に取り組んでまいります。
私は宿毛市と同じ年で、54年に宿毛で生まれました。小学1年生から21年間京都で生活し、その後英国留学も経験しました。27歳の時に宿毛へ帰郷し、家業を継ぎました。京都と英国での生活体験がなければ、今の私はないと思っています。現在は、海運業や陸上輸送、重機作業など物流を本業にしていますが、下水汚泥や食材残渣(ざんさ)などを有機肥料化する事業や、木質ペレットの製造工場とバイオマス発電事業を行う事業に参画し、循環型社会への対応にも取り組んでいます。自然と人の営みが絶妙に共存しているこの宿毛で、「Madein KOCHI」にこだわりながら、従来からの海陸物流業を継続しつつ、第一次産業と商工業がうまくコラボできるような取り組みを今後も応援したいと考えています。
「好奇心に勝る原動力はない」が当社の経営理念です。地方の脆弱(ぜいじゃく)な中小企業でも、ニッチな分野で何かのトップになることができれば事業は成り立つという考えです。また、企業体質の強化と、自分自身も含めて従業員がプライドを持って働ける会社を目指し、精力的に取り組んでいます。昨年、電気推進の大型貨物船を建造しました。まだ海洋における大型蓄電池が実用化できていない現状ですが、二重反転プロペラや海洋ナビゲーションによる最適運航で、CO2発生量を10%削減しています。船内も静かなので乗組員の労働軽減にも役立っていると思います。
宿毛に帰郷し昨年でちょうど40年。来年は祖父の興した会社が設立100周年になります。私も69歳になりますが、チャレンジ精神や創業者の思いを次の世代に引き継ぎながら、一度しかない人生を大いに楽しみたいと思っています。
最新号を紙面で読める!