日本商工会議所は9月9~12日、日中経済協会、日本経済団体連合会と合同で訪中団を派遣した。訪中団には、日商の三村明夫会頭はじめ総勢240人が参加し、日中間の経済連携強化に向け、中国政府幹部らと意見交換を行った。12日には、李克強首相と会談。李首相は、「中日両国は、世界の二大経済大国として、また近隣として、経済関係における実質的な協力を一層促進するための条件が既に整っている。両国の経済協力は双方の利益のみならず、当面の複雑な世界経済情勢の中で、安定した中日関係が世界経済の回復を促し、世界の発展、平和と安定に大いに寄与できる」と述べた。
合同訪中団の派遣は2015年から行っており、今回で4回目となる。日中友好条約締結40周年という節目を迎え、日中関係改善の機運が高まる中、日本がオール経済界で訪中し意見交換を行うことで、日中双方の連携強化を目指すために実施した。李首相は、会談の冒頭、「日中関係が再び正常な軌道に戻ったことを大変うれしく思う。かつて中日関係が波風や困難に直面したとき、3団体を含む日本経済界は中日関係のブースターの役割を果たされ、中日関係は正常な軌道に戻ることができた。これは、中日関係には基礎があるからであり、それは皆さまの努力と切り離すことはできない」と述べた。
三村会頭は、「自由貿易体制を擁護する考えを持っている国は具体的な行動で示すことが重要」と指摘。RCEP(東アジア経済連携協定)の早期締結を要望した。
また、中国日本商会が中国に進出している企業約2万3千社のビジネス改善要望を取りまとめた建議書「白書」を紹介。環境規制の強化について、「『美しい中国』実現を目指す取り組みについては同感するもので、違反企業が罰せられることは当たり前だが、違反していない企業も同様に罰せられることがないよう、透明性のある基準を適用してほしい」と要請した。
さらに、東日本大震災後の東北地方の日本産農水産品・食品に対する輸入規制の緩和・撤廃について、5月の日中首脳会談において共同専門家グループを設置することとなったことに謝意を表明するとともに、東北地方が順調に復興していることを紹介。風評被害の問題が解決することが東北地方の復興にも資するとして、引き続き規制の緩和・撤廃の検討を求めた。
こうした発言に対し李首相は、「中国は日中韓FTAの検討を加速する」と述べた上で、日本や韓国と共に自由貿易やRCEPを推進していく立場を表明。「RCEPの年内の実質的な進展を願っている、また、TPPに対してもオープンな姿勢を持っている」と述べた。また、「中国はビジネス環境の最適化をさらに促進し、日本を含む外資の良き投資先になるように努力したい。引き続き改革・開放を堅持し、外資歓迎の意向を発信していきたい」と日本からの中国進出に期待を寄せるとともに、日本側から出された課題の解決について関係部署に指示した。 訪中団はこのほか、国家発展改革委員会や商務部、工業信息化部など主要経済官庁幹部と意見交換を行った。
最新号を紙面で読める!