王道を知る
商品には、大きく分けると2種類の性質がある。それが「集客商品」と「主力商品」だ。地域一番店商法では、この二つの組み合わせがビジネスモデルの根幹となる。 それぞれを定義すれば、集客商品とはいわば生活品的商品のこと。お客さんにしたら近場ならどこで買ってもいいものだ。対して主力商品はどちらかというと耐久消費財的な商品になり、年に1回か2回、または数年に1度しか買わないもの。こちらは店が少々遠くてもお客さんは買いに来る。
これを店側で捉えると「自店で売れ個数の多いのが集客商品」で、「自店の稼ぎ頭が主力商品」ということになる。分かりやすくケーキ店で例えると、毎日食べてもいいプリンやシュークリームが集客商品となり、バースデー用のホールケーキが主力商品といったところ。
皆さんは主力商品を売りたがる。そりゃそうだ。もうけの少ない商品をたくさん売るより、一つ売れば稼げる商品を売りたい。 でも、集客商品をきちんと売っていかないと、主力商品が売れないことも知るべきだ。それは毎月毎週買いに来られる商品だからリピート客にもなるわけで、何度も来店するから店や商品のファンになり、主力商品の購買へとつながる。
その集客商品でリピートさせるのが地域一番店商法の王道であり、今回のテーマが「集客商品×主力商品」と掛け算なのは、どちらかではなく「掛け合わせて成り立つ」ということだからだ。
顧客心理を意識
まずは、どの商品が自店で一番売れ個数が多いかをチェックしてみよう。実際それが月平均何個売れて、販売個数での構成比は何%かまで数値化し、把握してほしい。売れ個数=客数と捉えると、集客商品の貢献度を改めて認識できるだろう。 もう一つ意識するといいのは顧客心理。主力商品を売る時にきちんと対応するのは当然のことだが、集客商品を買いに来た時にもきちんとした対応をしているだろうか。お客さんとの信頼関係を築きながら、見込み客に育て、日銭を稼ぐ戦略的な商品であることにも気付いてほしい。
ちなみに、業界によっては市場規模が大きいので、主力商品だけでやっていけるというならそれでも構わないが、私の経験上、市場が縮小し始めると主力商品だけでは成り立たなくなってくる。それは店舗の特性で商圏が限られているからだ。その商圏を絞り込むことで地域の人々全員をお客さんと捉えていくことが地域一番店商法の出発点だからね。
それを承知で最後に言わせてもらうけど、さらに市場が縮小していく地方と衰退産業にあっては、これらの王道だけでは厳しい時代になってくるだろう。そうなったときに何を使ってどうするかについては、連載折り返しとなる次回からの展開をお楽しみに。
(日本販売促進研究所商業経営コンサルタント・佐藤勝人)
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