日本商工会議所の志岐隆史観光委員会共同委員長(観光・インバウンド専門委員長)と菅原昭彦同専門委員会共同委員長(気仙沼商工会議所会頭)は8月2日、国土交通省で斉藤鉄夫大臣、髙橋一郎観光庁長官と会談し、7月20日に取りまとめた「観光の再生・復活に向けた意見・要望」を手交した。志岐委員長は、全国各地の観光コンテンツの付加価値を高める取り組みへの支援を要望した。 会談で斉藤大臣は、「観光再始動事業や、高付加価値な観光地づくり、DMOを中心とした地域一体となった自発的な観光地づくりなどの施策を進める」との方針を表明。「意 見書の趣旨を踏まえ、持続的な形での観光立国の復活に向けて、頑張っていきたい」と述べた。 意見書では、「観光再生・復活に向けた持続可能な観光地域づくりの実現」「事業再生・再構築に取り組む事業者へ支援」を大きな柱に据え、政府の支援施策の必要性を指摘。具体的には、「観光コンテンツなどの高付加価値化と持続可能な観光の推進」「交流・関係人口拡大による新たな需要の創出と旅行需要の平準化」「インバウンドの地方誘客促進」「観光消費の拡大、コンテンツの高付加価値化に資する観光DXの推進」「観光需要の分散・拡大に資する交通網の整備」「人手不足・人材育成への支援強化」「観光事業者の経営基盤の再生・強化」などを提言している。 観光コンテンツなどの高付加価値化と持続可能な観光の推進に向けては、「プランナーやデザイナーなどの専門人材が伴走型で地域を支援する施策の強化・拡充」「地域の歴史・文化資源などに関する教育の充実による郷土愛(シビックプライド)の醸成促進」などを要望。DMOについては、観光圏整備法の枠組みを活用し、国が認定する観光地域づくり計画や法定協議会においてDMOを法的に位置付けるなど、DMOが地域と一体的に活動できるような環境整備の検討などを求めている。 交流・関係人口拡大による新たな需要の創出と旅行需要の平準化については、ゴールデンウィーク、お盆、年末年始への旅行需要の偏りが、労働環境の悪化や生産性低下を招く原因の一つとなっていることを指摘。要望事項として、シニア世代やインバウンドの取り込みに向けたコンテンツ開発、ワーケーションなどの新たな観光の推進や、連泊旅行需要の喚起などを挙げている。 インバウンドの地方誘客促進については、特定地域に偏在している宿泊者数・旅行消費額の地方分散に向けて、国・自治体における訪日プロモーションの推進や、国際的なMICEの誘致促進、受け入れ体制の整備などを要望。事業再生・再構築に取り組む事業者への支援については、観光事業者の事業再建・再構築に向け、人手不足への対応、外国人材活用、資金繰り支援などを要望している。 日商では、意見・要望書を国土交通省をはじめ関係各方面に提出。意見内容が反映されるよう、強く働きかけていく。
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