日本商工会議所は11月30日、11月の商工会議所LOBO(早期景気観測)調査結果を発表した。調査期間は11月14~20日。全国423商工会議所が3727企業にヒアリングした。
11月の全産業合計の業況DIは、マイナス14・9と、前月からプラス2・3ポイントの改善。ただし、「悪化」から「不変」への変化が主因であり、実体はほぼ横ばい。産業用機械や自動車、電子部品関連、建設業が堅調に推移した。また、インバウンドを含む観光需要の好調な動きや、農産物について、夏以降の価格上昇に落ち着きが見られると指摘する声も聞かれた。他方、原材料費・燃料費の上昇や深刻な人手不足、根強い消費者の節約志向が足かせとなっており、中小企業の業況改善に向けた動きには鈍さが見られる。
ヒアリングした企業からは、「西日本豪雨や台風などの災害復旧工事が増えているものの、深刻な人手不足から、受注しきれない。人材確保を最優先目標に据えているが、具体的な解決策を見いだせない」(一般工事)、「他店との価格競争が厳しく、採算悪化となったほか、パート・アルバイトの人手不足が深刻で、最低賃金を大幅に上回る時給を提示しているが、応募がない」(小売)「配送依頼は多いが、ドライバー不足から受注を絞らざるを得ない。燃料費の高騰が収益を圧迫しているため、さらなる運賃改定を検討している」(運送)といった深刻な人手不足を訴える声が多く寄せられた。
先行きについては、先行き見通しDIがマイナス13・7(11月比プラス1・2ポイント)と改善を見込むものの、「悪化」から「不変」への変化が主因であり、実体はほぼ横ばい。年末年始の個人消費拡大やインバウンドを含めた観光需要拡大、生産・設備投資の堅調な推移への期待感がうかがえる。他方、人手不足の影響の深刻化や、原材料費・燃料費の上昇、コスト増加分の価格転嫁遅れ、米国の保護主義的な関税措置に端を発する貿易摩擦、消費増税の影響を懸念する声も多く、中小企業の業況感はほぼ横ばいで推移する見通しだ。
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